lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

フェデラー選手はユニクロと契約するのか? (テニス)

フェデラー選手がユニクロと契約?

今週、フェデラー選手のメルセデス・カップ(シュツットガルト)での復帰、新しいProstaffの使用と合わせて「フェデラー選手がユニクロと契約か?」というニュースが流れています。

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スイスの新聞ル・マティン紙あたりから始まり「ナイキとの契約終了、ユニクロが契約すべく動いている、内容が年間2,250万ドル(24.8億円)の10年契約である」という話です。

ナイキとは年750万ドルで3倍の金額だそうですが、「現状、フェデラー選手とナイキの契約は年1,200万ドル。ナダル選手の "5年で5000万ドル" に対して毎年かなり多くの金額を支払っている。」という話もあったります。

ユニクロと合わせて交渉相手としてアディダスの名前も上がってています。ただ、先日、ハレプ選手がアディダスとの契約が終了した後、間をおいてナイキとの契約を発表した流れで出た感じかもしれません。

契約切れにより自前で調達したウェアでプレイするハレプ選手

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アディダスについては具体的な金額等が書かれていませんので。

 

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ナイキとの契約を更新してない

フェデラー選手は1994年(!!)からナイキと契約していますが2018年3月1日で直近の契約が終了しているようです。

それ以降も練習や大会でナイキのウェアを着た状態でプレイはしていました。

BNPパリバオープン(インディアンウェルズ)でのフェデラー選手(3月)

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現在出場中のメルセデス・カップでもナイキのウェアを着ています。

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大会のプレスカンファレンスでユニクロとの契約について記者から質問がありました。

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動画がYouTubeに載っていて見ましたが今は削除されてしまったようです。

記者からの質問に対し「(ユニクロとの契約の話に対し) それは噂だ。私は契約が終了した3月からナイキとの契約関係を持っていない。私達は話しあっており、何が起こっているのかいずれわかるだろう。」と回答していました。

コメントの最後は言葉を濁す感じで口をつぐみ、今は大会期間中だから大会にフォーカスしてほしいという雰囲気でした。

ユニクロと契約する意味

※ユニクロは契約交渉についてコメントを求められこれを認めていません。(当然ですが)

まず、フェデラー選手は契約金が高くなるからといって契約を変更する意味がありません。テニスの賞金だけでもものスゴイ額を稼いでいますし、ナイキ以外でもアンバサダー契約などたくさんの収入を得ています。年収は70億を超えるそうです。

また、ナダル選手の倍の額で契約している話からもテニス選手としてとてつもない評価をされていることは明白です。(プロ野球選手のように年俸 = 評価さとしてFAするのとはレベルが違う)

ユニクロとしてはジョコビッチ選手と契約したものの、錦織選手との契約で得た効果(および国内での派生効果 + 海外での認知度UP)以上のものは得られなかったと思います。おそらく錦織選手よりかなり多い額を支払ったはずです。

フェデラー選手が今後何年現役でプレイするかはわかりませんが、引退後も契約している意味は大きいです。

言われている金額差からも、ナイキとの契約期間終了に合わせてユニクロ側が割り込み猛アピールしていると考える方がすっきりします。

錦織選手が怪我等含め調子を落とし、年齢的な面からも今後何年ユニクロの看板として機能するか分からなくなっている状況を打破しても大きくお釣りが来ます。(アディダスとの契約満了をもって大坂なおみ選手とも契約したいでしょう。)

失礼ながら、引退後の錦織選手と引退後のフェデラー選手ではブランドにもたらす意味合いが全然違うはずです。引退した錦織選手は知名度含めいずれ松岡修造さんと同等位の世間認識になってしまうでしょう。引退したら露出も減り、杉山愛さんあたりと同等の世間の認識(よく知らないけど有名なプロテニス選手)になりそうです。

フェデラー選手は今後何十年も名前が上がるであろうレジェンドですからね。

ウェア以外の契約やRFロゴはどうなるのか?

ユニクロはウェア周りだけの契約になると思います。錦織選手もシューズやラケットは他企業との契約です。ジョコビッチ選手もそうでした。

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となると、仮にフェデラー選手がユニクロと契約を結んでも、シューズは引き続きナイキという感じになると思います。テストしている様子もないのにいきなり変えたりしないでしょう。

ラケットは当然Wilsonですね。新Prostaffになりますし。

フェデラー選手の代名詞であるRFのロゴはナイキのものです。ナダル選手の牛のロゴと同様ですね。ナイキがユニクロ、もしくはフェデラー選手にこのロゴを譲渡する意味もないと思うので今後RFロゴは見られなくなるかもしれません。

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本当に契約となるのか?

わかりませんね。

3月に既存契約が終了した後もフェデラー選手は変わらずナイキのウェアを来て練習や試合に出ています。

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これはナイキとの話し合いが続いていることを示していると思われます。

フェデラー選手側としても、ナイキと引き続きパートナーシップを結んでいくという選択肢は普通にあるのでしょう。前述の通り、契約金の額は彼にとって最優先ではないでしょうから。

仮にフェデラー選手との契約が維持できないとなれば、ナイキとしては自国である米国ゆかりの有望選手と契約したいでしょうね。シャラポワ選手とかは良い対象だったと思います。今で言えばシャポバロフ選手がグランドスラム優勝する位の選手になればありがたいでしょうね。

仮にフェデラー選手とユニクロとの契約が完了する(している?)のであれば、節目のタイミングで切り替わると思います。既に芝のシーズンに入っている訳ですから少なくとも『ウィンブルドンでいきなりユニクロのウェアを着てる!!』なんてことにはならないんじゃないかと。(わかりませんが。)

普通に考えれば来年の全豪からという感じですが、それまでウェアをどうするかですね。

ロゴはどうなる?

錦織選手も、契約していたジョコビッチ選手もおなじみの赤いユニクロロゴのウェアを着ています。 (着ていました。)

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他のブランドに対してナイキのロゴは色やサイズで主張が大きくなく、フェデラー選手の築いてきた王者の雰囲気にマッチしていた印象があります。

Twitter等にはフェデラー選手のウェアがユニクロロゴだったらという加工写真がいくつか出ていますがだいぶ雰囲気が違います。

ユニクロが市販の衣料品につけている銀色のロゴがありますが、フェデラー選手のウェアは赤ではなく銀色になったりしないかなぁとも思います。

できればマークも違うものにしてほしいけど。

 

 

上達したければバックハンドをスライスに逃げるのを辞める (テニス)

バックハンドストローク

テニスのストロークにはフォアハンドストロークとバックハンドストロークがあります。

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英語でforehandとは"手の平側(手の前)"、backhandは"手の甲側(手の後ろ)"で打つといった意味のようです。

フォアハンド、バックハンドとそのものを表す単語として使ってしまいますが、身体の後ろか前か、右か左かという認識は少し違いますね。

初心者はフォアハンドで打ちたい

初心者が最初に習うのはフォアハンドストロークですね。

テニス フォアハンド

腕を手の平側に使いボールに向けていく、当てに行くというのはそれまでの日常生活、スポーツ等でも割と経験がある動作ですし、最初はフォアばかり練習するのでフォアが少し打てるようになってから練習を始めるバックハンドに比べ、皆フォハンドの方が安心して打てます。

結果、バックハンドで打つべきボールもフォア側で回り込んで打つ、バックハンドを避け全てのボールをフォアで打とうとする、最初からフォア側を大きく空けたポジションを取ろうとするといった事が起きます。

テニス 互いにフォア側に回り込んで打とうとする

初心者の段階では、打つボールの速度もゆっくりだし、不安なく打てるフォアで打ちたがるのも仕方がないかもしれませんが、少しずつ練習のレベルが上がる中でそれでは済まなくなってきます。

 

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バックハンドの必要性が増し練習するようになる

スクールならコーチは必要な場合はバックハンドで打つように指導しますし、練習相手もバックハンドが苦手だと感じればそちら側にボールを集めようとしたりします。(自分もバックが苦手だから回り込んだフォアで相手側のバックに打つというシュールな光景になります..... )

このためフォハンド一辺倒だった初心者は「フォアハンドだけではまずい。バックハンドも打てるようにならなくては」という意識を持って練習するようになってきます。

テニス バックハンド

これが初心者から次の段階へ進む境目という感じです。

当然、次の段階に進むのを拒んでそこに留まろうとする方も居ますがそれは個人の考え方なのでしようがありません。

「片手打ちより両手打ちの方が簡単」と「バックハンドをマスターしている」は次元が違う

バックハンドの打ち方には片手打ちバックハンド両手打ちバックハンドがあり、片手打ちより両手打ちの方が簡単だというのが一般認識でしょうが、これは「取り敢えずラケットをボールに当てるのが楽」といった程度の違いです。

片手打ち・両手打ち問わず、バックハンドをマスターできていると言える段階はもっとはるかに上の次元にあります。

プロ選手のように色んな状況でしっかりスピンをかけて返球できる、バックハンド同士のクロスラリーでも打ち負けずラリーが続けられるといったレベルになるのは片手打ち、両手打ち共にかなり難しいです。

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仮にスクールのレベル分けが入門・初級・初中級・中級・上級とあるとすれば中級位でもバックハンドでしっかり打てる人、バックハンドをマスターできていると感じる人は全体の1割も居なかったりします。

同じレベルの人達と練習している中では実感が沸かないかもしれませんが、プロ選手の映像だったり自分達よりも上のレベルの人達がバックハンドでラリーを打ち合っているのを見ればその違いは感じられるのではないでしょうか?

 西岡良仁選手のバックハンドクロスラリー

ラケットを持つ腕の関節(肩・肘・手首・指)がボールを打つ方向 (前方向)に柔軟に曲がりやすい特性を持つ、テイクバックで利き腕肩を後方に下げてそれを前方に動かす幅の中で打つフォハンドは多少打点がズレても調整してごまかせてしまうのですが、それらが逆の特性を持つバックハンドではフットワークが不十分で打点がズレてしまうと簡単にミスに繋がります。逆にバックハンドはフォームが決まってくると調子に左右されなくなりますがフォアハンドは日々調子が変わってしまいます。(だからプロ選手だと攻撃はフォアを使うがバックハンドの方が得意、安心して打てるという人も多い。)

「片手打ちバックハンドよりも両手打ちバックハンドの方が有利だ。片手打ちバックハンドを選ぶ理由なんてない。」といった意見が両手打ちバックハンドをマスターできている段階にある人だけが言っている訳ではないことに注意が必要です。むしろ両手打ちバックハンドをしっかりマスターできている方なら打てるようになるまでの大変さを分かっているのでそういったことは言われない、どちらでも好きな方でいいよと言われるかもしれません。(とは言え、片手打ちバックハンドを積極的に勧める訳でもありませんが。)

 

 

 

バックハンドを練習する段階で使い始めるスライス

脱初心者からのバックハンド練習を行う過程で起きるのが"スライス的なバックハンドを使う"という段階です。

ボレーではフォア・バック問わず練習させられますし、バックハンドストロークを練習する中の咄嗟の場面で取り敢えず当てるだけで返球しよう、うまく打てないなりにラケットを当てて返球しようという意思が本来目指しているトップスピン系のバックハンドとは異なるものの、バックハンドボレーやバックハンドスライスに近い"取り敢えずラケット面にボールを当てて返球する"という打ち方をもたらします。

テニス バックハンド 当てるだけの返球

片手で打つということでボレーとの連動性の高い片手打ちバックハンドの方は必ずといっていいほど通る過程ですが両手打ちバックハンドの方でもボレーに近い打ち方として使います。

言い方は悪いですがこれは「トップスピン系のバックハンドをきちんと打ちたいがミスをしたら嫌だ」というプレッシャーに耐えられず、ついこういう打ち方で手が出てしまうもの、文字通り"逃げ"のショットです。

バックハンドは中途半端なスライスばかりになる

このショットの延長線上でバックハンドスライスを打つ技術が増し、バックハンドはスライスを多用するようになる人も居ます。

特に男性は"回転をかける"、"ボールを操る"といった事に優越感を持つので女性よりもそうなる割合が多いですね。片手打ちバックハンドの方はバックハンドスライスを用いることが多くなりますし、片手打ちバックハンドを選ぶのは断然男性という一連の流れもあります。

と言ってもバックハンドをトップスピンできちんと打てない人が打つスライスは今居るレベルでは通用しても多くの場合"中途半端なまま"です。

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トップスピン系のバックハンドをマスターするということはただ"打てる"というだけでなく"身体の使い方を理解している"ということです。

スピン系のバックハンドがマスターできている段階の方ならより完成されたバックハンドスライスを容易に打てるはずでスピン系バックハンドへの苦手意識から来るスライス系への"逃げ"が結局自分の成長を妨げていると言えます。

そこまで行かなくても『バックハンド側にボールが来ればついフォアハンドで打とうとしてしまう。回り込むことができない状況ならトップスピン系の本来の打ち方ではなく、ポンと当てるだけのスライスっぽい打ち方でなんとかしようとしてしまう』という段階が続き、成長はそこで完全に停滞してしまいます。フォアハンドだけでそれ以上の段階に進むのは無理です。 

これには技術的な問題と心理的な問題がある

繰り返しになりますが「片手打ちであれ、両手打ちであれ、バックハンドをマスターするのはすごく難しい」です。

この"取り敢えず当てて返すスライス系のバックハンド"の段階はマスターする手前も手前、先はだいぶ長い訳ですが、これを乗り換えなければゴールさえ見えてきません。

コーチは「たくさん練習をし、たくさんボールを打てば、打てるようになる。怖がらずバックハンドで打つようにしなさい。」と言うかもしれませんが、勝ち負けのかからない単なる練習中の1球であっても、自信がない中ミスするかもしれないという不安を抱えたままで打つというのはプレッシャーも大きいですし、実際、努めてバックハンドで打とうとしてもうまく打てない事の方が多い、上達にも繋がらないと思います。

指導に問題がある訳ではないですが、スクールの大勢居て、時間も限られる中で行う練習の仕方(球出し練習など)ではこのバックハンドに対する"心理的な壁"、"技術的な壁"を越えるのはかなり難しいと思います。

コーチや周りの方からいくら教えてもらっても"自分のテニスを上達させるのは自分自身"です。他のショットも同様ですが、教わる姿勢では目に見える上達は見込めないです。スクールに通っても上達しないのはこのためです。

自分で考え変わっていかなければ、いつまでも"なんとなくスライスで返すバックハンド"から次の段階へ進むことはできません。

 

 

 

スライスで打ってしまう段階から脱出する、レベルを上げるには

"技術の問題""気持ちの問題"の両方をクリアしていかなければいけません。

技術が上がってきても実際にボールを打つ際に不安があれば気持ちが逃げてしまいます。「失敗してもいいからバックハンドで打て」というアドバイスは必要でしょうが、同時にバックハンドの打ち方を考え、理解し、実践できるようになり、色んな状況でしっかりと結果を積み重ね、自信を積み重ねることでようやく咄嗟の場面でも使えるようになるということだと思います。

スピン系のバックハンドを自信を持って打てるようになるには、ボールを捉えるということ、スイング速度と距離感、回転をかけるということ等を体感するのが大事だと考えます。その例が "ミニラリー(ショートラリー)"です。

ミニラリーは練習前のウォームアップで行ったりしますが、普通は皆、ストロークをベースライン付近からの長い距離で打ちたがります。短いボールをネット際の低い位置からショートクロスに打ったりできなければ困るのに何故なのでしょう?

強く打つことがストロークを打つことではなく、距離感や回転を思うようにコントロールできることこそがストロークを打てるということだと私は思います。そういう練習をしない方は短い距離をストロークで打つのが苦手です。ミニラリーをやっても速度が速いし、簡単にオーバーするようなボールばかりになりがちです。

シャラポワ選手のフォームアップ

シャラポワ選手は練習の初めにショートラリーをよく行います。育成された環境によるものでしょうが海外の選手ではとても珍しいと思います。

ウォズニアッキ選手のショートラリー

スピン系バックハンドの技術を上げ、自信を持って打てるようになるための練習ですから距離は短い方がいいと思います。正面に向き合って打つよりもバックハンド側のクロス、ネットに近い短い距離で打ち合えば回転や距離感が実践に近く感じられるかもしれません。

テニス ミニラリー ショートクロス

また、ボールを打つ打点は意図的に低い位置を想定するのがいいと思います。バウンドして頂点から落ちてくるボールをしっかりと待つ、しっかりと引きつけて打つ感じでしょうか。

テニス 両手打ちバックハンド 低い打点

眼の前にあるネットを越すように低いボールを打つには姿勢を低く保つ必要があり、面の向きに注意してボールを持ち上げる、適度に回転をかける必要があります。

高い打点で打つ方がネットを越すことが楽ですが、打ち下ろすような打ち方だけではラリーは続けられません。バックハンドにおいてボールに回転をかけつつ厚くボールを捉える、ボールを持ち上げるという感覚は低い打点で練習する方が養われると考えます。

テニスのルールではボールは2バウンドする前までに打つことになっていますね。コートにバウンドするぎりぎりのボールを打つのは簡単ではないですがラケットフレームの厚さ分の空間があればスピン系のストロークでボールを持ち上げることは可能です。むしろスライス面で処理するよりも確率が高いと感じるケースもあったりします。

ストロークは応用力が必要

ストロークは"基本の打ち方"で対応できる状況はごくわずかです。

状況に応じた応用の幅の広さが対応力を決めます。球出し練習で打っている基本の打ち方で全てのボールを打とうとすると思うように打てない事が多いです。

逆にボレーは"基本の打ち方"ができれば対応できる幅が広いです。

ストロークよりボレーが苦手な方も多いですね。ボレーは明確にスイングをしないことでラケットをボールに当てること自体はストロークより簡単ですが、皆 "基本の打ち方" をしっかりと理解しないまま、初期の段階(初心者の段階)から自分なりの打ち方をするようになる。結果、思うようにボレーを打てない、ミスが多いという状況になります。ボレーミスが多い人を見れば打つ際の動きがぎこちないし、"基本の打ち方"と比較して考えればミスに繋がる理由は一目瞭然だったりします。ボレーは基本をしっかり守って丁寧に練習すれば、練習すればするほど明確に上達していきます。ストロークを上達させるよりボレーを上達させる方が楽だと思います。(でも、皆、ボレーよりストロークの練習をしますよね。。)

何度も繰り返しますが「片手打ちであれ、両手打ちであれ、バックハンドをマスターするのはすごく難しい」です。

バックハンドをマスターできればテニス全体で大きな穴はなくなると思います。後は各ショットのレベルを上げていけば自身のテニスもレベルアップしていきます。

初心者のフォアハンド一辺倒から、当てて返すだけのスライス系バックハンドの段階に進み、そこに留まっている方はそれを乗り越える手段を考え、自信を持ってバックハンドを打てるようになるべきでしょう。

その過程で「自分はバックハンドスライスが得意」と考えている方も、本来望ましい形は何かを考えたいです。どんなに自信があってもスライスしか打たないのでは相手も対策できてしまいます。ダブルスでも圧倒的に不利ですからね。

 

 

 

なぜ、ベルディヒ選手はフェデラー選手に勝てなくなってしまったのか? (テニス)

トマーシュ・ベルディヒ選手

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チェコのプロテニス選手で年齢は32歳、シングルスは最高4位、2010年~2016年まで守ったTOP10から落ちてしまったものの今もTOP20をキープしています。

2010年にブレークした感じで同年の全仏ベスト4、ウィンブルドン準優勝など。以降も大会上位の常連でどの選手も当たりたくない相手だと思います。

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ベルディヒ選手 (名前の日本語表記は様々あり、これはWOWOW風です)の特徴は196cmの身長を活かしたサーブとフォア、バックとも角度を付けてがっつり重いストロークを打ってくるところ。

体全体を使って打つフォームではなくカウンター気味にラケットを合わせて打ってくるのにボールに威力はある、体勢悪く当てて返すだけでもチャンスボールになったりしないので相手に攻め込まれにくく、一発でポイントを取れるショットを持っているといった所かと思います。

 

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フェデラー選手とベルディヒ選手

フェデラー選手とベルディヒ選手の対戦成績はフェデラー選手から見て20勝6敗です。かなり勝ち越しているように見えますが、2009年までは8勝1敗、2010年~2013年は3勝5敗、2014年以降は9勝0敗です。

つまり、ベルディヒ選手がブレークした2010年からフェデラー選手がProstaff97とエドバーグコーチとのコンビで復活する前年、2013年まではかなり苦戦した相手でした。

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復活前の数年のフェデラー選手はナダル選手にやられ続けたように多くの選手にバックハンド側を狙われ、スライスで返球すると強打され、スピンで返球しようとするとミスなど攻守にバランスの悪い状態だったと思います。

特に、このベルディヒ選手や2014年のUSオープンで破れたチリッチ選手(ご存じの通りチリッチ選手は錦織選手に勝ち優勝)のようなサーブが速く、パワーのあるストロークで押し込んでくるタイプの大柄な選手が苦手だった印象があります。

フェデラー選手がチリッチ選手に負けたのはこの1回だけですが同じようなタイプの選手に苦戦するイメージはありました。(敢えて言えば、フアン・マルティン・デルポトロ選手とかも。)

ナダル選手は苦手であってもまだ自分のテニスで戦えてはいた。逆にこれらの選手には一方的に攻められてしまうケースが多いといった違いがありました。

2012年 マドリッド決勝

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マドリッドは有名な大会ですが、この年はレッドクレーを青く着色するという取り組みがされた年でした。(トーナメントディレクターだったサンタナ氏のアイデアだったとか。否定的な意見が多く翌年戻しました。)

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また、決勝のボールパーソンは毎年、モデルさんが担当するという特徴もある大会です。

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この試合、フェデラー選手は1セット目3-6で簡単に落とし、2セット目もあわやタイブレークという綱渡りな試合運び。ベルディヒ選手の2バウンド疑惑とかもあって、紙一重という感じで勝った試合でした。

フェデラー、なぜ2バウンドしたと言えるのか科学的に説明

「2バウンドする前にラケット面で拾ったならああいう飛び方にならない。バウンドして上がってきた所を打ったからだろう」と説明するフェデラー選手。 

決勝にはウィル・スミスさんが訪れており表彰式に参加していました。(多分メン・イン・ブラック3のプロモーション) 表彰式前に居るのがバレていましたけど。

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復活以降負けていないフェデラー選手

2014年の復活以降、フェデラー選手はベルディヒ選手に負けていない訳ですが、去年と今年の無双状態の好調さは別に、他選手に攻め続けられたバックハンドの改良がラケットの変更と合わせて完成の域になり、スライスを使わずにトップスピンだけで相手と打ち合い、逆にエースを取ってしまえるまでになりました。

2014年こそ、サーブアンドボレーが起点となってはいましたが、ベースラインから下がらず相手選手よりも僅かに速いタイミングで打つストロークに相手が反応できない、追いつけないケースが目立つようになり、それとスライスやドロップショット、コースの使い分けなど様々な攻撃パターンの中で相手にポイントを取らせない。逆に一方的にフェデラー選手の試合運びに相手を巻き込んでしまうような状態で今のグランススラム20勝に至っているかと思います。

ただ、フェデラー選手が強くなったからベルディヒ選手に負けなくなったという事とはちょっと違う気がしています。

ベルディヒ選手は32歳でベテランと言えるでしょうが、もともと動き回ってガンガンラケットを振って打つテニスではなく、2010~2013年の頃と今でそこまでテニスが変わっている訳ではないでしょう。

当然、以前の方がよく動けていたでしょうし、周りの選手が進化している訳なので以前と今ではテニスの内容も変わってきてはいます。

個人的な考えですが、フェデラー選手に勝てなくなった理由は「研究されてしまったから」じゃないかと思います。

ベルディヒ選手の気になる点

ベルディヒ選手のテニスを見て気づくのは両足のスタンス幅です。

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2018年全豪オープン

フェデラー選手とベルディヒ選手を比較すると、スプリットステップでかなり広めの歩幅を取り、その後の移動も歩幅の広い"大きなステップ"を中心にボールに追いつくフェデラー選手に対し、ベルディヒ選手がボールを追う際、殆どがパタパタという細かいステップを用いているのが分かります。足の動く動作に比べて体が前に進まない、簡単に言えば速く移動できないのが分かります。

私達、素人のテニスでもそうですが「足を動かさなくては!!」と細かいステップで地面を踏んでも体は前に進んで行きません。打点付近への移動は大きなステップ、近づいた後の調整とタイミング合わせに細かなステップと組み合わせと使い分けが必要です。これは練習の中で身につけるものでしょうが意識して取り組まないと"個人の癖"は改善されません。スプリットステップの歩幅も広すぎては地面を踏んで1歩目に繋げる力を得られませんが、狭すぎては逆に腰高な姿勢で地面を強く踏めません。(フェデラー選手の歩幅の広いスプリットステップはその後の移動に対する"意識"を感じます。)

ベルディヒ選手は、この移動がスムーズでない点をカバーするため、最初に述べた体全体を使ってラケットをしっかり振るフォームではなく、正面を向いた"がに股状態"で腕から先を多く使ってボールを打つことが多いかと思います。

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ダッシュして加速し、きちんと停止してからボールを打つのではなく、 移動しつつ打っている感じになるのでバランスを崩しやすく(それでも強く打てるのですが)、打った後に相手の次のボールに対応するのがワンテンポ遅れることとなります。

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フェデラー選手がフォアもバックも厳しく強いボールで角度を付けられるようになっていることもあり、上の全豪ハイライトのようにベルディヒ選手が左右に散々走り回されるようなポイントがフェデラー選手との対戦で多くなっています。

ベルディヒ選手は元々ドロップショットなどの対応が危なっかしく、2012年マドリッド決勝でもフェデラーに4本位ドロップショットを決められていたのですが、フェデラー選手のレベルが上がった現状で、元々あったその速く動けない、動いても止まれない所をしっかり付かれて自分のテニスをさせてもらえなくなっているのが近年の対戦成績に出ているのだと思います。

後、ベルディヒ選手のテニスはシンプルすぎると感じます。

サーブとベースラインを左右に移動しながら打つフォア&バックがベースなのですが、フェデラー選手のように球種やコースを様々変えて相手を揺さぶったり、ドロップショットや戦略的にネットを取るといったこともなく、ごくごくシンプルな強いラリーの打ち合いを好むスタイルなのかなと思います。

上でも書きましたが、ズベレフ選手、ティーム選手、パブロ・カレーニョ・ブスタ選手、ゴファン選手、ソック選手、チョン・ヒョン選手、シャポバロフ選手等々、新しい選手はどんどん出てきており、ベテラン選手も含め、男子テニスは毎年"進化を繰り返して"きています。(女子テニスとの差は年月で言えば20年近くあるのかも)

ナダル選手のような唯一無二を持つ選手を除けば才能や身体能力では勝ち残れない状況です。

今、男子テニスの進化の方向性を示しているのはフェデラー選手だと思います。速い時間を与えないテニス (片手打ちバックハンドの可能性も)を皆が取り込もうとしています。

ベルディヒ選手のシンプルな戦術は"地力の強さ"に支えられているものでしょうが、このままだとTOP20を守っていけるかどうかという感じかもしれません。

その辺りが「研究されてしまっている」という点です。欠点から来る攻め方が分かってきただけでなくフェデラー選手の進化が以前は苦労した相手を攻めやすくなったといった所でしょうか。

因みに、同じようにフェデラー選手が苦手"だった"タイプとして上げたチリッチ選手は全米優勝以降少し低迷しましたが、男子テニスの進化の方向性に向き合う姿勢を感じます。チャンスを見てネットを取ったり、シンプルなラリーではなく意図を持った配球で相手にプレッシャーをかけるようなプレイです。サーブは全米時点で改良されていましたし、ストロークはやや安定性にかける部分があるものの強く打ち続けられます。自身の特徴を活かしつつ時代の進化も取り込もうとする。以前のように好不調の波がない安定感。そして今の位置(4位)なのだと思います。

デルポトロ選手は復帰後の今は"好調"な部分が大きい気がします。元々攻撃力が高い選手で他の大型選手と一線を画していますが、チリッチ選手ほどテニスの進化の追従出来ている印象はないです。(どちらかというと進化の流れに居る対戦相手に合わせてプレイを調整してきている感じ。当然、取り込んでる部分はありテニスも変わってきているけど元のスタイルは変えてない。) ただ、足が遅い訳でもないし歩幅も大きい、ボレーやネットもストロークの補完的には対応できる。ベルディヒ選手ほど目に見える弱点がないのも強みです。

この辺はコーチに細かく指導され、"クレバーなテニスをしろ"と指導されてきたであろうチリッチ選手と朗らかな性格で感覚派(?)っぽいデルポトロ選手の違いが出ているかもしれません。

でも、ベルディヒ選手はかなりいい人そう

フェデラー選手に対抗意識丸出しで試合後も敬意を示さないのはキリオス選手位ですが、上記の2018年全豪の試合後の様子を見ればベルディヒ選手の人柄は伝わるんじゃないでしょうか。

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動くのが苦手というのは身長が2m近い選手共通の欠点でもあるので、ベルディヒ選手が今からフットワークを改善するというのは難しいでしょうが、デルポトロ選手やチリッチ選手など、大きな選手が打つ『ビックフォアハンド』は魅力的なので今後もいい試合を見せてほしいものですね。

ちなみに奥様はめちゃくちゃ美人です。

 

Still on board with my 👼🏼 @esterberdychsatorova #travelsafe

Tomas Berdychさん(@tomasberdych)がシェアした投稿 -

チェコのモデルさんだそうです。

以前から試合の観戦でよくTVにも映っていました。

奥様が美人なのは関係ない? でもInstagramのお二人の写真を見ているとベルディヒ選手がいい人そうなのは伝わってきます。

 

 

 

 

 

ドロップショットについて考える (テニス)

ドロップショットという選択肢

私は試合や大会の類には出ませんがスクールの練習でもボレーで短く落とす練習はしますし、ゲーム形式でもドロップショットを打ってくる人は割と居ます。(相手の裏をかくショットを好んで選択しがちな男性は多いですね。)

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ただ、私の場合、ダブルスが多いというのもありますがドロップショットはほぼ使いません。理由は『使った後の結果が予測できない』と感じるからです。

国内大会の模様をYouTubeで見ていても、結果は様々ながらドロップショットを仕掛けた側がポイントを失うケースが多い気がします。

ドロップショットは基本的にはそれだけで決まることは少なく、拾われた上で次をどうするかが大事でしょうか。でも、ゲーム中の咄嗟の判断でドロップショットを自分が思う通りの距離感や回転で打てる人はまぁ少ないですよね。少しアバウトに打つショットです。自分が意図してコントロールできていないショットは相手がどんな反応をするのか打ってくるまで分からない。つまり、仕掛けた側は相手の対応を見て次にどう打つか決める形になる、後手に回ってしまうショットだ感じてしまいます

テニスは確率のスポーツなので結果の見えない選択肢は使いづらいということです。

ドロップショットを考えてみる

そういった前提に立って今回はドロップショットを考えてみます。

なお、状況的に使うドロップショットというショットの種類ではなくドロップショットとして使われる球種についてという感じです。

まず、一般的に思い浮かぶドロップショット(ドロップボレー)は少しふんわりとした放物線を描き、短い距離で着地させるイメージでしょうか?

テニス ドロップショット

ただ、実際やってみると、力加減や回転に注意してもネットに近い距離からネットを越すよう上向きに打ったボールは予想以上にバウンドしてしまいます。

こんな感じ。

テニス ドロップショット 高く弾む

ネット際から加減して打とうとしているなら打つ瞬間にドロップショットだと相手に分かってしまいます、バウンドが高くなってしまっては相手に追いつかれることに繋がりますね。

 

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ボールが弾む理由を考える

ボールが地面に反発するエネルギー量は「1/2 x ボール重量 x ボール速度 ^2 (2乗)」なので、スマッシュのようなショット以外はボールがバウントする高さは飛んできた軌道の高さに依存します。

ベースラインからのストロークやサーブの等は地面と水平方向にボールを打ち出すため、打った直後とネットを越えて着地するまでを考えれば空気抵抗でボールの速度はかなり落ちています。地面に向けて直接的に打ち込めるスマッシュのように打点の高さ以上にボールが弾むということがないのはそのためです。

その空気抵抗による速度低下を補う形で落下による加速があり、高い所から落ちるほど物体は加速し速度が増えます。速度のないロブでも高い軌道を描いて着地すれば大きく跳ねるのはそのためです。

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一般に「トップスピンを強くかけるとボールが弾む」と言われますが、トップスピンがかかったボールはフラットなストロークよりも地面の入射角が急になり、バウンドする角度が90度に近くなっていくので、ボールの速度が地面との反発に有効に使われ、結果バウンド直後に高い角度に弾むのだと私は考えます。

テニス スピンとバウンド

回転は入射角を発生させる要因であり回転により弾んでいるのとは少し違うということです。

ボールの回転はプレイヤーがスイングによって発生させる"ラケット速度"から生まれる運動エネルギーがボールに伝わった結果で、エネルギーはボール速度と回転量に分配され、回転量を増やしていけば当然速度は落ちます。(後、回転を増やそうとして当りが薄くなり伝達ロスも出る) 

1.地面に近い位置からボールを落としても弾む高さは僅かです。

2.高い位置から落とせば弾む高さは高くなります。

3.地面の近い位置からでも手で地面に投げつければ高く弾みます。

ボールは同じなので弾む高さの違いは"速度"の違いということです。回転量が速度の結果を大きく変えるとは考えにくいでしょう。"強烈な回転のかかったボールがラケットを弾き飛ばす"と同じような発想で少し漫画チックです。

通常のストロークでどんなに回転をかけても1mの弧の高さから着地したトップスピンのストロークが1.2mまで弾むことも起こりません。ネット間近で上から叩き込むようなショットだけです。

同じは話で、スピンサーブを大きくバウンドさせるには? と悩む方が居ますが、ロブの例同様、弾ませたいだけなら軌道を高くすれば良いだけです。スピンサーブの利点は確率、そしてトップスピンストローク同様、弾む角度が急になることによる取りづらさ。高く弾むボールは取りづらいですが速度が遅ければ下がるなりして対応はできます。速度があり弾んで進んでくるからトップスピン系のボールはうまく捉えづらいのですからね。

"トップスピンで弾む" とは回転、着地時の角度、反発あたりを混同という感じでしょうか。

フェデラー選手のドロップショット

試合でドロップショットを使用し、ポイントを取る確率も高い選手として思い浮かぶのはやっぱりロジャー・フェデラー選手ですね。

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フェデラー選手のドロップショットの特徴は、ベースライン付近などネットから離れた位置から使うことが多いという点です。(逆にネット付近ではゆっくりでもしっかりとしたボレーで決めます。多分、その方が確実で相手の対応も予測が付くからでしょう。)

フェデラー選手のドロップショット集

ネットから距離があるドロップショットはネットを越すのが難しい訳ですが、私はこの距離のあるドロップショットにも相手が返球できないポイントがある気がしています。

それは「軌道」です。

ある程度の距離を飛ばす訳なので、軌道を高くしてしまうと相手に余裕を持って取られてしまいます。スライス回転をかけたボールを打つならこういった高く上がらない軌道が望ましいはずです。 

テニス 弾まないスライスショット

テニスにおけるスライス回転は "野球で言えばストレート (4シーム)" のような回転です。野球の速い4シームは"ボールが浮き上げる"とよく言いますね。

フェデラ選手のバックハンド (スーパースロー)

スライス回転で打ったボールは上向きの回転で重力に逆らって浮き上がるように飛んでいき、空気抵抗で速度が落ちてくると前進する力が減り、重力に従って落下します。逆向きの浮き上がる回転が直進する軌道を支えているので速度が落ち重力で落下する時点では回転が推進力を支えられなくなっている訳です。

従って、回転をしっかりかけてある程度の距離を飛んでいくスライス系のショットを打てば、2バウンド目があまり弾ませないようにできます。

テニス 弾まないスライスショット2

このようなスライスを『止まるスライス』と言われたりしますが打ち方や飛び方は様々なので、ここではシンプルに浮き上げるような回転でまっすぐ飛んでいってバウンドしたらすぐに2バウンドしてしまう感じに思ってください。(糸を引くような軌道?とか)

フェデラー選手のドロップショットがどんな感じに見えるかお分かりかと思います。

 

 

 

できるだけ早く2バウンドさせるということ

テニスのルールではボールは2バウンドするまでに打たなくていけないです。(逆に言えば"2バウンドするまでに打てばいい"と言えます。地面スレスレまで打つチャンスはあります。)

打つ側から考えれば『自分が打ったショットが相手がラケットで触る前に2バウンドさせてしまえばいい』と言えます。ボレーやドロップショットなどはその辺りが求められるでしょう。

速いサーブで相手の打点の位置をいち早く通過してしまえば相手は打てない訳ですが、バックフェンス等なく周囲が開けたコートならどこまでも追いかけて2バウンド目までに打てなくはありません。強い速いボールを打つのが目的ではなく、"ボールがラケットを離れた後にどうやって出来るだけ早く2バウンドさせるか"が大事ということです。

フェデラー選手のドロップショットが何故有効なのか?

 フェデラー選手が打つドロップショットは相手の選手が拾えず、それ自体でポイントになるケースが多いです。ドロップショットを打っても多くが拾われる他選手とは成功率がだいぶ違うでしょう。

また、相手に取られる前提で打つ場合も返球のコースを予測してそれをどう返すかまで考慮して打っている感じです。つまり、最初に言った「後手に回る」前提でドロップショットを使っていないということです。

フェデラー選手のドロップショットが有効な理由は以下のようなこと考えられると思います。

・片手打ちバックハンドであり、テイクバックでスピンとスライスの違いが分かりづらい。

・加えて、フェデラー選手のテイクバックにおいてスピンとスライスの違いはラケット面の角度位。体の向き、腕の角度等はほぼ同じ。恐らく意図的にそうしている。相手コートから見ると打ち始めるまでどちらか分かりづらいはず。

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・フォアのドロップショットを打つ際もしっかりとテイクバックした形から打っている。フェデラー選手のフォアハンドはテイクバックが大きくないので分かりづらい。

ベースラインからドロップショットを打つ際、相手に向かって飛んでいくコースで打(相手の前を斜めに横切るようなコースは使わない)。「ドロップショットは相手に向かって踏み込んで打て」とか言いますがドロップショットだと分かりづらくさせる意味の他、自分に向かって飛んでくるスライス系のボールは距離感が掴みづらいので一瞬反応が遅れるのだと思います。

これに前述の浮かずに前に長く飛んでいく回転を使っているので2バウンド目が大きく弾まないこと、サーブのリターンや強いストロークの打ち合いの中で咄嗟に使うので対応が遅れるなどもあると思います。

我々が参考にできる点は

ネットから離れた位置でドロップショットを打ってもネットする確率が高いでしょうし、片手打ちバックハンドの方でも相手に分かりづらく打つのは簡単ではないでしょう。参考にしたいのはそういった点ではなく前述した「軌道」だと思います。

ドロップショットに限らず、我々がネット際でボールを打つ際、ネットを越すため、そして相手が居ない場所、相手から遠い自分から近い位置に打とうとします。

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ネットより低い位置で取る場合は最低限ネットを越す高さは取らないといけない訳ですが、それ以外にも「短く落として相手から遠い位置に」という意識が必要以上に軌道の頂点を高くしている(自分から近い位置に落とそうという意識)場合があると思うのです。

このため、仮に、相手から少し近くなっても『ドロップショットだと分かりづらくする工夫』『打ってから2バウンド目までの時間を短くする』ことの方が有効なのではないかと考えます。ネット間近からネットギリギリに落とすようなドロップショットではなく、同じ位置からならネットの高さでサービスボックス中央付近まで飛ばしてそこから急激に落下して止まるようなボレーとか。飛ばす距離を利用してしっかりと回転をかけバウンド後の減速を作るという感じでしょうか。

フェデラー選手ではないですがサーブをバックハンドスライスでリターン。そのボールが軌道は普通に見えてもサーブ側のベースライン付近まで飛んで来ずサービスボックス辺りで止まってしまう。サーバー側は咄嗟に前に出るのが遅れて取れない。偶然に起こったとしてもそんなシーンはイメージが付きますね。

このようなボールは、短い距離で打ち合うボレーボレーではなく長い距離でゆっくり打ち合うボレー練習で確認できるのかなと思います。相手の位置付近までしっかり直進していき、届いたら急激に速度が落ち落下するような感じですね。 ボレーのタッチ、回転のかけ方、距離感やラケット速度など、色々な要素が絡んできて面白いと思います。

長い距離でのボレー

また、他にもラケット面でサイドスピンをかけて打つボレーも距離を短くできる上に2バウンド目を小さくできる選択肢です。

サイドスピンバックハンドボレー

試合の中で咄嗟に使うのは難しいですが、慣れればまっすぐ打ってネットを超すドロップショット(ドロップボレー)より距離感やタッチは把握しやすいかもしれません。 

プロ選手のバックハンドボレーはラケット面で押し出すような打ち方より、肩支点に腕を上から下に引き、ラケットを小指側のフレームからボールに近づけ、ガット(縦糸)をボールにひっかけることでコントロールする打ち方が主流になっている気がするので時流にも合っています。

 

 

 

ラケットのガットは縦・横に張ってある。硬式テニスに必須な回転との関係。 (テニス)

ガットはラケットの中心線に対して縦・横に張ってある

テニスラケットは必ずガット(ストリング)を張って使用しますが、殆どのラケットはラケットの中心線に対して縦・横に交差する形でガットを張るように出来ています。

テニスラケット

※クロスに張る設計のラケットも存在しますし、一般的なラケットも斜めに張れたりしますが今回は一般的張り方を前提にします。

テニスラケット2

ガットがラケットの中心線に対して縦・横に張るのが一般的なのは張りやすさに由来するのかなと想像しますが、クロスに張るラケットも存在する訳ですから「縦・横でないとテニスというスポーツ自体が成り立たない」といった類の縛りではないことは言えるはずです。

ガットがテニスにどういう影響を与えるかという話

硬式テニスでは回転をかけてボールを打つのがほぼ必須です。

相手コートのライン内にボールを着地させないとポイントを失うルールの中で飛ぶボール・飛ぶラケットを使う訳ですから、トップスピンをかけて速いボールを短い距離で着地させる技術が必要です。また、スライス回転も対応上・戦略上必要となる技術です。

ところで「ボールを打つ際、ガットがズレ、それが戻ることでスピンがかかりやすくなる」という話を聞いた事があるでしょうか?

Wilsonが縦横のストリングパターンが少ない"Sラケ"を発売するに辺り、強調していた話だったと記憶しています。 

動画: Wilson Spin Effect Technology

ストリングパターンが少ないとガットが動きやすくなり、それが回転に何らか影響を与えるのは事実でしょうが、一般的な16x19のストリングパターンを持つラケットで"回転がかからない訳ではない"のでその差は"誤差"と言っていい位だと思います。

実際、16x15のような極端な仕様・独立ラインは消え、主要モデルの軽量版が若干横糸を少なくした仕様で残るのみです。他社のSラケはほぼ全滅状態、敢えてSラケ指定を選ぶ方も少数でしょう。

でも、ボールに実際に接触し、スイングによってラケットが得た運動エネルギーをボールに伝えるのは"ガット"なのは事実で、ガットをうまく使えないと『いくら速くラケットを振っても自分が意図するボールを打てない』と最近感じています。

どういうことか少し書いてみます。

※書く内容は"個人的に考えたこと"だと改めて前置きをします。スポーツ科学等で研究もされる"ボールを打つための体の使い方"等に対し、ラケット・ガットとボールの関係については"科学的に証明されていない" (検証されていても表立って広まっていない?) 部分があります。前述の「ガットが動けばスピンがかかる」もそうです。"個人の推測"に基づく考えである旨ご理解ください。

 

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ガットがラケットの中心線に対して縦・横に張ってあるということは?

サーブを打つ際や高い位置でボレーを打つ際、ラケットは"立てた状態"でボールを打つと思います。

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逆に腰位の高さのストロークやボレーを打つ際はラケットを"寝かした状態 (水平に近い状態)"でボールを打つでしょう。

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それぞれ状況において、ボールに回転をかける、或いは、ボールが上に飛んでいってしまうのを抑える役割は『インパクトに置いて地面と水平方向にあるガットの役割』ラケットを立てた状態なら"横糸"、水平に近い状態なら"縦糸"であると考えます。

ラケットを立ててボールを打つ場合 

高い位置のボレーを打つ際にコントロール性を高めるため、ボールをフカしてしまわないよう「高くセットしたラケットをインパクトで僅かに下に引くようにしてボールを抑える」よう指導されると思います。

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高い位置で打つ際、ラケット面全体を平たい板のようにまっすぐボールに当てていくとコントロールしづらいのでこういう工夫をする訳ですが、ラケットを上から下に瞬間的に引く(指導によっては"握る"と言われるかもしれません)動作でボールにひっかかりその軌道をコントロールするのは"横糸"の役割だと考えられます。

テニス ガット 縦糸がボールにひっかかる

テニス ガット 縦糸がボールにひっかかる2

インパクトで横糸が"ボールに噛む"ことでフカして遠くまで飛んでしまうことを抑えられます。

ラケットを寝かしてボールを打つ場合 

ボレーを打つ際、「ラケットを寝かせるな。ヘッドは常に立てておけ」と言われることがありますが、こういうボレーは現実的ではないですね。

ラケットヘッドを立てる

プロ選手を見ていると、肩から膝位の高さのボールを打つ際はストロークでもボレーでもラケットを地面と水平に近い角度で使うことが多いです。

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ラケットを立てた状態でボールを打つ際と同様に考えれば、(シンプルにラケット面の角度だけ考えれば) この状態でボールの飛びを上下に抑える、コントロールするのは"縦糸"の役割だと思います。

テニス ガット 横糸がボールにひっかかる

打点の高さからラケットを水平に近く使う場合、ボールの下側から上側に持ち上げるようにインパクトすればスピン回転、上側から下側に引き下げるようにインパクトすればスライス回転がかかります。その際、ボールを噛んで回転に必要なエネルギーを伝えるのは縦糸の役割でしょう。

つまり、ボールに回転をかける、より安定してコントロールするために"インパクトでボールを噛む"ガットの役割は、我々が打点等に起因してラケットの角度を変える、その状況によって縦糸、横糸の間で切り替わる。ガットが垂直に交差する以上、効果で考えれば"中間(クロスした状態で打つ)"という選択肢は望ましくない。

れらを理解した上でボールを打つのがよいと思うのです。

ボールを飛ばすのは主に縦糸の役目

ガットや横糸より縦糸の方が長いですね。インパクトで横糸よりも長い距離でたわむ訳で『縦糸は横糸よりもボールを飛ばす役割が大きい』と考えられます。

プロ選手は縦糸と横糸で別のガットを使うハイブリッドが広く使われていますが、縦糸にナチュラルガット、横糸にポリガットを使うケースが多いのは「縦糸でボールの飛ぶのを稼ぐ」ためでこのことを示していると思います。

テニス ガット ハイブリッド

ただし、縦糸の飛びが強く意味を持つのは主に"ラケットスピードが遅い時"です。

強いストロークやサーブではラケットスピードが速くインパクトにおけるガットの強い変形(たわみ)が復元する間もなくボールはラケット(ガット)から離れていきます。柔らかい素材のガット、しなるラケットで"ボールが飛ばない"感じがするのはしなりやたわみがボールが離れるまでに復元しない (たわんだまま、しなったままボールが飛ぶのでたわみやしなりが純粋に"ラケットから伝わるエネルギーの伝達ロスになる")

回転や打感を考えなければ変形しづらい硬い素材のガットを硬く張る方がボールを飛ばす力は強くなるでしょう。ただ、テニスでは速いショットばかりではないので縦糸に何を使いどう使うかが重要になるのだと考えます。

 

 

 

初心者が教わるトップスピンをかけてフォアハンドを打つ例

ボールに回転がかかるのは物理的な現象です。

要件を満たせば回転はかかるのでかける手段は1つではありません。

初心者の方は「膝の曲げ伸ばし等を使ってラケットを下から上に振るとスピンがかかる」と教わりますね。

テニス ボールの下から上に振ってスピンをかける

後述する"ワイパースイング"等を用いなくても、ボールに上向きの回転が加わる"物理的な要因"があるだけでスピンはかかるからです。

インパクト時のラケット面の角度は厳密に説明されない

この打ち方を教わる際、インパクトにおける"ラケット面の角度"は"インパクトの形" "打点の形"として形を作って確認させられる中に内包されてしまいます。形を見てヘッド側を下げすぎるな、上がすぎるなと注意される位でしょうか?

※「インパクトではラケット面を地面と垂直にしろ」とも言われますがその理由は説明されないでしょう。インパクトで伏せた方がスピンはかかるという話もありますが「力が入るから」「打ち負けないから」では説明になっていませんね。 

www.lond-jnl.me

ボールを打ちたい方向・角度に向けて"縦糸"が機能するラケットの角度

初心者の段階だと体の回転を使って打つ以前にボーリングでボールを投げる際のように体の向きやスタンスに対してまっすぐ前方にラケットをスイングしていくように言われると思います。最初は狙った方向にまっすぐ打つ感覚を学ぶことが重要だからです。

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前述の通り、ラケットを水平に近い角度でスイングする場合、トップスピンをかけるのに作用するのは"縦糸"です。

ストロークを打つ際など、下の図のようにボールを飛ばしたい方向・角度(図で言うと手前側)に対して、ラケットヘッドが下がっている、ラケットヘッドが上がっている状態ではクロスしたガットの両方が同じようにボールに作用し、トップスピンやスライス回転をかける機能としての"縦糸が有効に働かないでしょう。

テニス ヘッドが下がった状態でインパクト

テニス ヘッドが上がった状態でインパクト

ラケットが地面と水平に近い状態でラケットが下から上に振られれば、縦糸がボールにひっかかって動くことを考えれば違いがイメージできるでしょうか?

テニス ラケットが水平な状態でインパクト

下から上にラケットをスイングする際、いかにもボールがひっかかりそうですよね。

プロ選手も腰付近でボールを打つ際、ラケットを地面と水平に近く使うのはこれが理由ではないかと思います。

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実際、ボレーを打つ際、腰付近のボールはラケット面を水平に近く使う方が(ラケットを立て気味に使うより)ボールが遠くまで飛ばしやすいですし、飛ばすのに合わせてスライス回転もかけやすいです。ストロークでもラケットヘッド側を下げたままの状態だとボールが上向きに飛んでコントロールできなくなりがちですが水平に近い状態で上向きのスイングができていれば自然とトップスピンがかかりやすくなりますね。

 

 

 

物理現象としてボールに回転をかける別の手段についても考える

上の例は『トップスピンをかける基本』と言えると思います。

特に回転をかける工夫をしなくても膝の曲げ伸ばしやスイング軌道を水平から若干上向きに上げる (ボールの下側から上側に向けて振る) だけでナチュラルにトップスピンがかかるからです。

ラケットをスイングし速度を持たせ、運動エネルギーを発生される一番も目的は『ボールを飛ばすこと』です。回転をかけることではありません。

よく回転をかけるのを優先する、目的になってしまう方が居ますね。回転を武器にするという考え方もありますが、プロ選手ほど速くないラケット速度(運動エネルギー量)の中、ボールの速度を犠牲に回転を選ぶのは本末転倒でしょう。

その上で、打つボールの速度が上がるとナチュラルにスピンがかかるというだけでは十分でない状況が出てきます。必ず基本の体勢や打ち方ができるとも限りません。

ワイパースイング

前述したようにボールに回転がかかるのは物理現象なのでその手段は色々あり、その1つが"ワイパースイング"と言われるような打ち方です。

※ワイパースイングとは? という話は詳しく書けません。私も説明できないです。

ボールを飛ばすため、ボールを飛ばしたい方向・角度に"まっすぐ"ラケットを振っていく中で、それとは別にラケット面をボールの下から上に持ち上げて回転を発生される必要があります。

ワイパースイング1

プロ選手などはこの前に向かって振っているラケットの速度を犠牲にせずラケット面を持ち上げる工夫として"ワイパースイング"を用いていると思います。

フェデラー選手のラケットスイング

ワイパースイング2

腕を捻ることでラケットヘッドを引き上げる

ワイパースイングは腕を捻る、関節を曲げていくことでラケットのヘッド側を引き上げる動きになります。肘から手首までの前腕、肩から肘までの上腕を捻って回転させることで手のひらを振るような動作が生まれます。

大昔は、肘を曲げ、腕を内側に巻き込むような打ち方を"ワイパースイング"と言ったかと思いますが、これだと飛ばしたい方向と引き上げる方向が大きく違い、せっかく高めたラケット速度を削いでしまいます。上腕、前腕を捻る動きならボールを飛ばしたい方向に"腕を動かしながら"できるのでラケット速度を無駄にしません。

ストロークやボレーにおけるスライス

ストロークやボレーでスライス回転をかける際はトップスピンとは考え方が異なります。

腕を前に強く振る中でラケットを加速しエネルギーを回転に割り振るトップスピンに対し、ストロークやボレーにおけるスライスは"薄いグリップ"で"腕でラケットを引き下げる"動きの中で回転をかけます。"前ではなく上から下に"ですね。

手首や肘を使わず肩を支点に腕全体を引き下げる (天井から下がる電灯の紐を引き下げるような) 動きです。

紐を引く

ボールを飛ばすラケットの運動エネルギーはラケット重量とラケット速度で決まり、テイクバックの速度ゼロからラケットを急激に加速させるのは"腕の機能による引き"です。これはスピンもスライスも変わりません。

回転をかけるための腕の回転方向が、スピンは体よりも"前に腕を進める中で回転させる"方が機能しやすいスライスは"肩の位置で腕を上から下に引き下げる"方が機能しやすいという違いからグリップの厚さや打点の位置、スイングの方法が違ってくるものです。

ラケット面を前に動かすのではなくフレーム方向に回転させて使う

最初の例で、ラケットヘッドが水平より下、水平より上にある状態で前に向かってラケットを進めていってもガットがクロスした状態でボールを捉えることになり、スピン・スライスの回転に作用する"縦糸"が機能しないと書きました。

テニス ヘッドが下がった状態でインパクト

テニス ヘッドが上がった状態でインパクト

これとは別にフレーム側に向かってラケットを動かす・回転させるという考え方もできます。

ラケット面がフレーム方向に回転する中でガットとボールが接触すればグリップエンド側を回転軸として"縦糸"は回転の運動の半径としてボールを噛む、回転を加えることができます。

テニス ラケット ヘッドが下がった状態から引き上げる

テニス ラケット ヘッドが上がった状態から引き下げる

ラケットを使ったコーディネーショントレーニングでラケット面を地面と水平に動かしながらスライス回転をかけつつ、ボールを上に突き上げる練習をすると思います。その際、ボールにひっかかって回転をかけているのは"縦糸"ですね。

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プロ選手がボールを打つ様子を見てもこういうラケット面の使い方を端々に見ることができます。

ジョコビッチ選手のストローク (スーパースロー)

ストロークでトップスピンをかけるためテイクバックでラケットヘッドを下げる (ラケットダウン) と言われますが、ラケットヘッドを下げるからスピンがかかるのではなく、下げた位置からインパクトの水平に近い位置までヘッド側も持ち上がる際にガットがボールにひっかかるので回転が生まれやすいということだと考えています。

最初のラケット面をボールに向けてまっすぐ動かす中で膝の曲げ伸ばし等でラケット面を持ち上げるのに近いですね。ラケットをフレーム方向に引き上げることでこの動きを強くするものです。

フェデラー選手のボレー (スーパースロー)

フェデラー選手はフォア、バック、高いボール、低いボール、殆どのボレーにおいてフレーム方向にラケット面を動かす中で打ちます。状況によりラケット面をまっすぐボールに向けてボレーする (縦糸・横糸でボールを抑えて打てる)方がミスは少ないでしょうがフェデラー選手独自の感性なのでしょう。そのまま参考にするのは難しいですね。

マレー選手のボレー練習

マレー選手もバックハンドボレーでフレーム方向にラケットを動かしつつ打つ打ち方を使いますね。体の正面にきたボールを体と平行にラケット面を動かしてバックハンドで対処する、前に振らないボレーはよく目にすると思います。

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ラケット面を"前に" 動かさない中でボールが飛ばせるのは、フレーム方向に"ラケットを加速させている"ことと"縦糸がボールを噛んでいる、ひっかかっている"ことでボールに飛ばす・回転をかけるエネルギーが伝わるからだろうと思います。 

 

 

 

因みにサーブはフォアハンドスライスと同じ

サーブにおいて回転をかけるのは"縦糸"の役割だと考えます。

スマッシュなどほぼ無回転で打てる状況ではボールをフカしてしまうのを防ぐのは"横糸"の役割でしょう。

 

テニス 無回転で打つスマッシュ

ただ、似たようなショットながらサーブを無回転で打つことはありえないと言っていいので回転をかけるためにうまくガットを使うことを考えることかと思います。コツと言われるプロネーションを意識しても思うように回転はかけられませんね。

フォアハンドスライスで打点をどんどん上げて行けば、ラケット面でボールの外側を撫でるような"りんごの皮むき型"ですが、スライスサーブになります。

 

テニス フォアハンドスライスの要領で打つスライスサーブ

前述の通り、フレーム方向にラケット面を動かしているので、肩を軸とした円のような軌道でラケットが動いていく中、ボールにひっかかって回転をかけるのは"縦糸"です。 

テニス ラケット ヘッドが上がった状態から引き下げる

この"リンゴの皮むきサーブ"から本来の望ましいスライスサーブにするためには、フォアハンドスライスのようなオープンな(上向きの)ラケット面から、プロネーションを加えてラケットを前に強く振っていく工夫が必要ですが、その際もボールにひっかかり回転をかける縦糸の役割は変わりません。

マレー選手のサーブ (スローモーション)

スピンサーブもスライスサーブのスイング角度を変えたものだと考えられます。スピンサーブはスライスサーブとは打ち方が違うと言われますが"回転は物理現象"ですから発生される要因があれば回転は発生しますから手段に拘る必要はなく、実現しやすい方法を選ぶ方がよいでしょう。

ラオニッチ選手のサーブ (スローモーション)

ガットの役割を考えればインパクト面の作り方はイメージできる

ガットの役割についてイメージしやすいのは第一にボレーだと思います。

テニス初心者の方でも頭よりも上のボレーは体の正面の厚いグリップで"ハエたたき"型にボレーできます。

テニス ハエたたきボレー

肩から腰位の高さのボレーも、ストロークのように打てばあまり苦労しないかもしれません。

 

テニス フォアハンドストロークのようなボレー

特に意識していなくても、これらの状況で横糸・縦糸がボールにひっかかるのがコントロール性に関係します。(ラケット面全体で打っている意識でもガットが噛むことで飛びや方向性に繋がる。)

逆に肩よりも上や、腰よりも下のボレーを打つ際はラケットヘッド側が上がる、下がることでガットの機能を意識しないとクロスしたガットはラケット面で押し出すような飛びにつながってしまい、コントロールのしづらさに繋がると思います。

テニス 肩よりも上のボレー ラケット面を斜めにして打つ場合

テニス 腰よりも下のボレー ラケット面を斜めにして打つ場合

こういうラケットの角度で打つボレーが苦手で方向や飛びが定まらない方は多いと思います。ラケットをこねてしまいインパクトで面の方向が定まらなかったり。

フットワークの使い方を伴うボールへの近づき方 (これが出来ないと手や腕でラケットを近づけようとする) と合わせてラケットの角度 (=ガットの角度) もボレーのやりやすさに関係すると考えています。

これもラケットヘッドを下げるなという指導と結びついてくる部分かもしれませんね。

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ボレーに限らず、サーブもストロークも同じです。

ラケット面は『平面』と考えることもできますが、状況によって縦糸、横糸の使い方を意識することで、硬式テニスに必須である"ボールに回転をかける"ということ、ガットがボールにひっかかることからくる"思ったようにボールをコントロールする"という点により深く意味を持たせることができると思います。

少々特殊ですが、バギーホイップとかバナナショットと呼ばれるような打ち方もラケットを前に振れない分、縦糸がポイントだと思います。縦糸のひっかかりを意識できていないと飛びやコントロールをイメージするのは難しいでしょう。

フェデラー選手のバナナショット集

色んな状況で、縦糸、横糸を回転と飛びにどう活かすかをイメージしながらスイングができるとそれまでとはかなり違った感覚でボールが打てるかもしれません。 

 

 

ユージニー・ブシャール選手、ラケットがヨネックスになってますね。(テニス)

ブシャール選手がヨネックスのラケットを使っていた

先月ですが3月に開催されたマイアミ・オープンの写真です。

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女子の試合はハイライトでもなかなか見ていないのでブシャール選手を見たのはホップマンカップのダブルス映像以外でした。

USTAとの脳震盪事件の裁判 & しばらく下位ツアーを回る話に絡んでTwitterで流れてきた画像を見ると"また"ラケットが変わっています。

写真を見ると、デザインやロゴからYONEXのVCORE SV 100のようです。

 

My real Monday

Genie Bouchardさん(@geniebouchard)がシェアした投稿 -

 

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2018年、ブシャール選手のラケットの変化

2017年の年末から2018年の年明けにかけてオーストラリアのパースで開かれてホップマン・カップに出場した際、ヘッドのラジカルを使用していました。

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直前のルクセンブルグ、香港まではそれまでと同じバボラ (恐らくアエロプロドライブ) を使っていたので、ヘッドと契約するのかなぁと思っていたのですが、

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同じ全豪シリーズでも、その直後のハーバート国際と全豪オープンではバボラに戻していたようです。

クーヨンクラシック

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どうもホップマン・カップ直後のハーバート国際で1回戦負けしたので急遽エキジビションであるクーヨンクラシックにも出場したようです。

全豪オープン

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でも、写真を見て分かるようにラケットを戻していると言いつつも以前のようなバボラのステンシルがガットにありません。つまり、バボラとの契約は終了状態にあったということかと思います。

全豪後の台北では準々決勝で152位の選手に敗退、インディアウェルスは1回戦敗退と来てのマイアミでのヨネックス使用です。

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マイアミではシードがついて2回戦から出場も3回戦で敗退だったようです。

ラケットは使用しているもののガットにヨネックスのステンシルはないですし、ラケットバッグもウェア契約のナイキのものを使用していました。

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ちなみにこのナイキのラケットバッグ2014年のモデルで最新モデルですらないのがちょっと悲しいものがあります。バッグを使うナイキへの配慮(?)なのかも。

ラケットが黒塗りでない意味

ヘッドのラジカルもヨネックスも黒塗りで使っていないので契約前提で試用しているというより "単に使いたいラケットを使用している感じ" な気がします。

バボラとの契約が残っている中で他社ラケットをテストする場合は最近なら黒塗りで使うことが多いし、契約メーカーのデザインに塗って使ったりすると思いますから。

ヨネックスもラドバンスカ選手に続く女子有名選手と期待して契約したアザレンカ選手が復帰直後に離婚問題で出鼻をくじかれた感じになっているので絶不調が続いているとは言えブシャール選手と契約となればありがたいのかもしれません。

看板と期待しワウリンカ選手と同列に扱っていたンチッチ選手はさっぱり...だったし、目立つ立場にあったヒンギス選手は2度目の引退をしてしました。

大坂選手が今年中にもTOP10まで上がってくる可能性もありますし、ヨネックスも契約選手について色々考えてはいるでしょう。

テニス以外の活動は...

ブシャール選手は昨年に続き今年もSI (Sports Illustrated Swimsuit)のモデルをやっているのですが、 

www.si.com

テニスの絶不調さに比べ、SIのYouTubeチャンネルで頻繁に更新される撮影風景の対比にかなり悲しいものがあります。

Sports Illustrated Swimsuit YouTube Channel

今年はセリーナ・ウィリアムズ選手に変わり、2017年全米優勝のスローン・スティーブンス選手が出てたりします。。

ブシャール選手の復帰は当分難しそうですが...

ブシャール選手のUSオープンの脳震盪事件の裁判はUSTAと和解となり一応の決着を得ました。テニスについては暫く下位ツアーを回って自信を取り戻す予定とコメントしていますが、強く方向性を示してくれるコーチやサポート環境とかが必要なのかなぁと思います。話相手、相談相手みたいな雰囲気もある男子選手とコーチの関係と違い、女子選手はがっつり"コーチ"って感じですからね。

同時期にブレークしたハレプ選手は今や世界1位、ブシャール選手はまだ24歳ですが女子選手の復活は実現してもかなり時間はかかるのでそんなに猶予はない気はします。

(すいません。私はハレプ選手のプレイスタイルの方が好きので。)

 

 

デニス・シャポバロフ選手の片手バックハンド (テニス)

 男子テニスで片手打ちバックハンドの選手が目立ってきた

2013年位までは男子プロテニスでも「片手打ちバックハンドは絶滅危惧種」という雰囲気でした。フェデラー選手は代表格でしたが、他はガスケ選手、ハース選手、コールシュラーバー選手、ロブレド選手とベテラン揃い。2014年にワウリンカ選手とディミトロフ選手がブレークしましたが「片手打ちバックハンドなんて...」という感じは変わりませんでした。

ところがこの2年位で片手打ちバックハンドの選手が目につくようになり、むしろ両手打ちバックハンドの選手よりも日々目立つポジションに位置するようになりました。

テニスは世界的なスポーツなのでジュニアでも片手打ちバックの選手も一定割合はずっと居たはず。多分、日本のように"片手打ちなんてやめておけ"と指導されないでしょうが、新しい選手も含めてその活躍にプロの世界でもまた我々素人の意識的にも「片手打ちでも十分行けるのでは?」という感じに少しですが変わってきた気がします。

デニス・シャポバロフ選手

最近活躍する片手打ちバックハンドの選手の中で特に印象強く、目立つ一人がカナダのデニス・シャポバロフ選手ですね。

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私が最初にシャポバロフ選手を見たのは2017年のデビスカップ、対イギリス戦、不用意に打ったボールが審判を直撃し、失格になってしまったニュースを見た時でした。 

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デビスカップでの事故の模様

その後の活躍を見た時、審判にボールを当てた若手だと気づかなかったのですが、最近はたびたびニュースでも取り上げられる選手になりました。

 

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シャポバロフ選手の片手打ちバックハンド

私がシャポバロフ選手の片手打ちバックハンドで好きな点は

「打点を近く取っている」

と思う所です。 

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ただし、これは

"物理的に打点が体に近いか遠いか"

という見方とは少し違います。

 

望ましいと思うインパクト姿勢

個人的には『片手打ちバックハンドは下の図のような姿勢を"基本"としてボールを捉えたい』です。

テニス 片手打ちバックハンド 打点の姿勢

3Dモデル作成が未熟でイメージしづらいですが、フェデラー選手を例に挙げるとこういう体勢が近いです。

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一般に教わる片手打ちバックハンドの打ち方とはイメージが違うでしょうが、言葉で言うと

「体の軸が軸足である後ろ足の上にしっかりと残っていて、腰高でなく、軸や頭を傾けることなく、ラケットとボールのインパクトをラケット面を通して後方から見ることができている感じ」

です。 

動画や静止画等を見ると、フェデラー選手もシャポバロフ選手もこういう捉え方を基本としている気がします。

今回は片手打ちバックハンドについて少し書いてみようと思います。ただし、"シャポバロフ選手の打ち方に関する感想" が主題ですからそれを説明する都合で必要な点をかいつまんでです。(その辺りも含め、片手打ちバックハンドについては後日書いてみようと思います。)

 

 

 

バックハンド、および片手バックハンドについて少し整理する

フォアハンドとバックハンドの違い、そして片手打ちバックハンドについて少し整理しておきましょう。

スイングの支点

片手打ちバックハンドにおける"スイングの支点"は利き腕の肩です。

テニス バックハンド テイクバック 利き腕の位置

片手打ちバックハンドでは主に肩から先の腕の機能を使ってボールを打ちます。フォアハンドのように体を回転させて打つことはしません。 

フォアハンドはテイバックにおいて利き腕の肩が体の後方にあるので"体を回転させてそれを体の前側に移動させる必要がある"と考えます。

テニス フォアハンド テイクバック 利き腕の位置

テニス フォアハンド インパクト 利き腕の位置

バックハンドはテイバックの時点で利き腕の肩が体の前方にあり、その肩を支点にスイングする片手打ちバックハンドではフォアハンドのように『体を回転させて正面を向く』積極的な理由がないということになります。

テニス 片手打ちバックハンド 打点の姿勢

横向きを保つ

片手打ちバックハンドで「横向きを保て」と言われます。

これはスイング中に体を回転させてしまうと"スイングの軸となる利き腕肩の位置"が動いてしまうからです。(俗に言う"肩が開く"という状態)テニス 体の回転と利き腕肩の位置変化

体の回転で"体の中心軸"と"利き腕の肩"の2点がスイング時に可動することで動きが複雑になり、結果、スイング軌道が安定しづらくなります。横向きを保って利き腕肩の位置を変えないようにして打つことで安定してボールを捉えることに繋がるので「横向きを保て」と言われるわけです。

腕の曲げ伸ばしだけでは加速が不十分

横向きを保った状態でも、"単純な腕の曲げ伸ばし動作だけ"でスイングしてはボールを飛ばし回転をかけるために必要なラケットの運動エネルギーが十分得ることは難しいです。

初心者の方は図のように"打点の位置から両腕を広げる、伸ばすようにして"ボールを飛ばそうとしますが、遠くまで飛ばすことはできないはずです。それはインパクトにおけるラケット速度がないためです。

テニス 片手打ちバックハンド 両腕を広げるフォロースルー

ボール を飛ばし回転をかけるはスイングによりラケットが持つことになる運動エネルギーの大きさで『1/2 x ラケット重量 x ラケット速度 ^2 (2乗)』で表せます。

(同様にボールも重量と速度を持って飛んでくるので、スイングせずラケットの運動エネルギーがゼロに近くても、ボールの持つ運動エネルギーを反発させることである程度飛ばせるのがボレー。逆にサーブはボールの運動エネルギーはゼロに近いのでほぼラケットの運動エネルギーで打つ。)

運動エネルギーは"インパクト時にラケットが何km/hか?"でその大きさが決まります。"スイングの大きさ"ではないです。そしてラケットの速度で言えば『テイバックでは速度ゼロ』です。

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片手打ちバックハンドにおいて曲げた腕の関節を伸ばしていくだけでは十分なラケット加速は得られません。横向きの状態から"軽く上半身を捻って下半身との捻転差を発生"させ、それを戻す動作で下半身からの力を上半身と連動させ、腕の曲げ伸ばしと共にラケットを加速させる工夫が必要です。

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体の捻り戻しにより腕と下半身の力を連動させることができるようになるのはフォアハンドも同様ですが、片手打ちバックハンドではこの"体の捻り戻し"と腕の機能による"引き"で一気に加速しインパクトに向かいます。

因みにテニスでは「打点においてラケット面でボールを押す」イメージでと言われますが、0.003~0.005秒程と言われるインパクト時間は人の反応速度(0.2秒とか)を越えているし、加速により体の回転や腕の動きよりも速度が増したラケットを"物理的に押す"のは無理です。100km/hを越える速度で進むラケットはインパクトの0.004秒程の間に(ボールとラケットは接触し離れるまで)約13cmも"接触したまま"前進している計算です。0.004秒を人が把握できないことを考慮すると幅を持たせたインパクト前後含む30cmとか、ラケット面はボールを飛ばしたい方向に向け続ける方が安全なので、それをイメージとして「押す」と言っているのだと想像します。指導で言われるまま「押そう」と考えると、インパクト前後に意識が集中してしまい、本質的に必要な"インパクト時にラケットは何キロか?"、テイクバックからの"引き"による急激なラケット加速が満足にできないと思います。 

 

 

 

片手バックハンドは打点を前に取れと言われるが...

片手バックハンドを教わる際に「打点は前に取れ」と言われます。理由としては「打点が近くなると打点で力が入りにくく、ボールに喰い込まれるから」といった所でしょうか。

実際の打点は、"空中の一点"ではないということ

前述したようにインパクト時間(0.003~0.005秒)の間に、ラケットとボールは接触し、ボールが潰れ、ボールが多少復元しながらラケットから離れるという段階を踏みますが、その中でラケットとボールを接触した状態のまま約13cmも前進している計算になります。

テニス インパクトでラケットとボールは接触したまま10cm以上前進

『空中のある一点』かのように"打点"を確認させられますが、実際は『スイング中、ラケットは約13cmの幅でボールを捉えている』と考える方が現実に則しています。当然「打点を前に取れ」の"打点"は0.004秒の始まり、「ここから約13cmの幅でボールにエネルギーを伝えるのだ」という地点であるべきです。

でも、我々が教わる片手バックハンドの打点位置と言えば、大体が利き腕肩よりもだいぶ前、腕をネット方向に伸ばし、腕と脇が空いたような状態でしょう。

テニス 片手打ちバックハンド 打点を前に取れの打点イメージ

この位置から13cm、ボールとラケットは接触した状態で進むのはちょっとイメージが湧きません。繰り返しますがインパクトに向けラケットを加速させるのは"体の捻り戻しによる下半身の力と上半身の連動"と"腕の機能による引き" です。

ラケットに進む力を加える"腕の引き"は腕が前進し利き腕肩を通過した時点で"弱まる"のでその前後には"ゼロ速度からの急激な加速度は収まっている"と考えられます。

つまり、片手打ちバックハンドが両手打ちバックハンドよりも優れている点、『振り抜きの速さ』『ラケット速度の速さ』、そして『インパクトで13cmボールとラケットは前進する』ということを考えれば我々が「打点を前に取れ」と教わる位置よりももっと体に近い位置で捉えるべきではないか?と思うのです。

体の軸が両脚の中心にあると利き手の動きに影響を受けるということ

そして、片手打ちバックハンドでは横向きを保つべき、利き腕肩の位置がズレる原因となる体の回転を接触的に行う理由がないのですが、上の図のように『体の中心軸が両脚の間にある』状態では"体の捻り戻しによる下半身の力を連動させること"と"腕の機能によるラケットの引き"が有効に機能しません。要は「速く振れない」のです。

片手打ちバックハンドを習い始めた初心者の方はこのような状態でスイングしようとし、ボールを飛ばせないのは前述の通りです。

テニス 片手打ちバックハンド 両腕を広げるようなフォロースルー

体の捻り戻しは『上半身と下半身の捻転差』を生み出し、その捻転差が腕を振る上半身と地面を踏み反作用の力を得る足の力の連動を起こします。これはフォアもサーブも同じです。横向きのまま、正面を向いたままでは"腕の力で振ること"しかできません。

野球のピッチャーを見ればそう感じます。

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また、片手打ちバックハンドにおける体の中心軸を両脚の中央に置いた状態で打つと、ラケットを持つ利き腕 (右利きなら右手)の動きの方が大きいのでそちらに引っ張られ、軸は前側脚 (右利きなら右足) 側に偏っていきやすく、スイングの結果としてのフォロースルーもあり、体は回転しやすくなります。

片手打ちバックハンドを教わる際、繰り返し注意される「横向きを保てない」「体が回転する」「肩が開く」状態です。

 

テニス 片手打ちバックハンド 肩が開く 1

テニス 片手打ちバックハンド 肩が開く 2

体の軸が両脚の中央にある時点で「体の軸を中心にスイング軌道はその周囲を回る、つまり"横振り"になりやすい」のは想像がつきますよね? 

スイングの軸である利き腕肩の位置を動かさない。結果、体の捻り戻しと腕の引きで加速させてきたラケット速度を鈍らさないためには「テイバックで軸足 (右利きなら左脚)側に寄せた体の軸を反対側の足を踏み込みつつ、体の軸は軸足側に残した状態でスイングする」のが基本となってくるのではないか?と考えます。

利き腕のみで強くラケットを加速させるため軸は後方に残す

片手打ちバックハンドの「利き腕一本でラケットを振る」という特性から捻転差を設けて足の力も使い、テイクバックの速度ゼロから急激に利き腕の引きでインパクトまで加速させる。そのためにはテイクバックからインパクトまで、体の軸は体の中心ではなく軸足である後ろ側の足の方に残っている方が望ましい。それが最初に上げたインパクトの状態です。

 

テニス 片手打ちバックハンド 打点の姿勢

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常にこういった状態で打てる訳ではないですが球出しのボールを打つ練習、クロスの長い距離でラリー練習位はこの形で捉えるようになりたいでしょうか。

 

 

 

前腕とラケットの角度も強くボールを捉えて"まっすぐ飛ばす"ために重要

以上が体と軸、片手で振るラケット加速に関する話ですが、もう1つ重要な事があります。選手達の写真を見て感じられますが「前腕とラケットの角度差」です。

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片手打ちバックハンドは、スイングと連動した前腕の回転(スピネーション)がトップスピン回転の発生に影響しますが、インパクト前後にラケットと腕が一直線になってしまうと「ラケットを下から上に持ち上げる」ことができなくなります。

ボレーでも「ラケットヘッドを立てろ、寝かせるな!!」と言われますね。

テニス 前腕とラケットの角度 手首が伸びない

テニス 前腕とラケットの角度 手首が伸びる

この前腕とラケットとの角度は、ボレーに限らず、フォアハンドでもサーブでも同じです。前腕とラケットが一直線になる、手首が伸びしてしまうと、人の体の機能上、インパクトでラケット面を強く支えられないし、ボールに回転等の影響も与えづらくなってしまうのです。

少し極端なので、安易にマネすると手首を痛めますが、前腕の回転(捻り・ススピネーション)をトップスピン回転のために用いるのがガスケ選手の片手打ちバックハンドの特徴です。

ガスケ選手の片手打ちバックハンド

スローで見るとよく分かりますね。

また、ストロークはフォアもバックも"体の回転"に伴う"腕の引き"でテイクバックの速度ゼロから急激にラケットを加速させますが、"体の回転そのものでラケットを振る訳ではない" というのが大事です。

回転で得られるラケット軌道は"円"です。

よく「遠心力で打つ」などと言いますが、我々がボールを飛ばしたい方向、角度は一方向ですし、インパクトの0.004秒ほどを人が認識できないことを考えれば、円軌道の中でボールを打つのは力の向きと方向性の問題で全く効率的ではないです。

結果、「ラケットは飛ばしたい方向にまっすぐ振る。つまり、インパクトの時間を含めてラケット面はボールを飛ばしたい方向・角度にまっすぐ加速させる、まっすぐ直進させることが我々の目的に合う。」と言えると思います。

テニス 体は回転していてもラケットは打ちたい方向にまっすぐ動かす

手首が伸びた状態、前腕とラケットの角度差がない状態では肩を支点に腕を斜めに振る、ラケットヘッドもその腕の軌道通りに動くしかなく、腕を速く振ることができなくなります。

説明が難しいですがアンダースローのピッチャーでも投げる瞬間手首は上に立っています。オーバースローのピッチャーと同じようにキャッチャーに向けてまっすぐ腕を振っている訳です。決して肩支点の円軌道の中で(ハンマー投げのように)ボールを投げている訳ではありません。

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フォアもバックもストロークにおいて前腕とラケットに角度差がない、腕とラケットが一直線になってしまうと肩もしくは体の回転を軸に腕とラケットを一体として回すことになります。

これでは

「インパクト前後にボールを打ちたい方向に長くラケット面を向け続けたいのにラケット面が常に変わっていく。(まっすぐ打てない)」

「ラケットを下から上に持ち上げるのが難しいのでスピンがかからない」

「腕を強くしっかり振れないのでラケット速度も上がらない」

等の問題があります。

また、"ラケットのガットは縦横に垂直に交差している"のでラケットの中心線を地面と水平にすることで長さのある縦糸をボールに回転をかける(ひっかかってガットが動く)ことに使いやすくなるのです。(それも手首を緩めるな、ヘッドを下げるなの理由です。)

下の図の状態なら、これからラケット面が地面と水平のまま上に持ち上げられる感じが分かるでしょうか。

ラケットを引き上げる流れでインパクト以前にこれよりややヘッド側が下がっている方がよいのかもしれませんが、それは腕や手に力が入っていなければ、これまでのスイングの過程で自然と下がるものなので、下げないとと気にする必要はないと思います。

このラケットの角度とスイングに伴う腕の引き上げがとても大事です。 

結果、"打点は体に近く"取れスピンもかけやすくなる

テイクバックからインパクトまで、体の軸が軸足(後ろ側の)側に残っており、前腕とラケットとの角度がきちんと保たれていれば、片手打ちバックハンドの打点 (前述の通りラケット面がボールに触れ、ここから10cm以上前進し始める位置) は自然と"少し手前"に取れます。

体の捻り戻しによる捻転差から地面を踏む足の力が使え、テイクバックからの腕の引きと合わせて十分ラケットを加速させているので、この"少し手前"の打点でも打ちづらい、ボールに喰い込まれるという感覚はありません。前腕のラケットの角度差で十分ボールを支えられる形が出来ていますからね。

打点が体に近い、スイング軌道から言えば地面に近い低い位置でボールが捉えられ、下から上に自然とフォロースルーを取れる形ですから自然とトップスピンもかけやすい、スイングを大きく取れるので加速してきたラケットの速度を邪魔しないフォロースルーが取れると思います。

『フェデラー選手やディミトロフ選手がこんな大きく上にラケットを跳ね上げるようなフォロースルーが取れるのは"腕をこういう風に振ろう"と思っているからではなく、そうなるようにスイングしているからだ』と考える方が自然だと思いますよね。

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シャポバロフ選手の片手打ちバックハンド

ようやく主題の話に戻りますが、シャポバロフ選手の片手打ちバックハンドの打ち方はこれまで述べたような点を踏まえていると感じます。

シャポバロフ選手の練習動画

 これらとは、

・テイクバックからスイングまで体の軸が軸足側に残っている

・前腕とラケットの角度もしっかり保たれた形でインパクトできる

・(軸足が後に残っているので)体が回転しづらくスイングの軸である利き腕肩の位置がブレにくい

・(軸足が後に残っているので)体の前にある打点までしっかりラケット速度を高めていける

・(軸足が後に残っており)前腕とラケットの角度があるので打点を少し手前に取れ、ラケット速度と腕の捻りで打点位置から上にラケットを跳ね上げやすく自然とスピンがかかる

等々です。

結果、現代風の大きく上にラケットを跳ね上げる、両腕が翼のように跳ね上げる、ボールにキレがありスピード感もある現代的な片手打ちバックハンドになっているように感じます。 

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また、打点が少し手前の取れるということは「それより前の打点でも打てる」ということです。

「"基本"こういう打ち方で打ちたい」と書いたのは、片手打ちバックハンド(片手程ではないが両手打ちも同様)は打点位置に関する許容範囲が狭いので基本とする形以外でも打てる幅が必要だからです。低いボールを持ち上げる、クロスに打つ、ストレートに打つ、高いボールを打つ、様々な対応方法を考慮しておく必要があります。打点が"少し手前の取ってもしっかり打てる"というのは片手打ちバックハンドに必要なそういった対応の幅を広げてくれるし、これらの打ち方自体そういった余地を含めた体の使い方になっていると考えています。打点が合わなければ即ミスでは厳しいですからね。

因みに、シャポバロフ選手はフォアハンドの方がボールスピードも回転量もあるでしょうがバックハンドほどボールにキレを感じないのは打ち方に無駄が多いからかなと思います。左利きなのでフォアはスピン多めで右利きのバックを突く感じですがこれでフォアに威力があったらかなり脅威な選手だと思います。

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現状、試合ハイライトの映像で取り上げられるのはバックハンドのウイナーが多いですからね。

片手打ちバックハンドを"かっこよく"打つには

私は、最初に述べた"フォアハンドに対するバックハンドの特性"を考えれば、両手打ちバックハンドも片手打ちバックハンドも体の捻り戻しによる下半身と上半身の連動、及びそれに合わせての腕の引きによりラケットをテイクバックの速度ゼロ状態から急激に加速させる理屈は変わらないと考えています。

両手打ちはフォアハンド同様、非利き手の自由度 (腕の各関節は体の中心から外より、外側から中心方向に向けて柔軟に曲がる) 故にインパクト前後の調整はしやすいですが、ラケットの加速がスイング序盤の"腕による引き" (インパクト時ラケットでボールは押せない) であると考えれば「両手打ちバックハンドの方が"打つ"のは簡単でもしっかりボールを打つ、打ち方をマスターするという意味では両手打ちも片手打ちも大差ない理解が必要」じゃないでしょうか。実際、片手打ちバックハンドをしっかり打てる方なら両手打ちバックハンドも普通に打てるでしょうが、コーチ経験等のない方ならその逆は難しいでしょう。両手打ちバックハンドで打っていても「"利き手の引きによるラケット加速"を考えずに"非利き手による調整"が主となっている。結果、フォアハンドほどボールに威力が出ない」方が多いのではないか?と想像します。

※繰り返しになりますが、両手打ちバックハンドをしっかりマスターできている方なら、体の使い方からスイング初期の加速が十分できていて打つボールにも片手打ちに負けない威力があるはずです。ラケット速度を活かし自分から打っていくのに向いている片手打ちに対し、両手打ちはカウンター気味に打つのに向いていると言ってもです。

ボールを飛ばす理屈から考えれば、片手打ちバックハンドも両手打ちハンドも同じような手順で打てるようになる (=同程度の時間でマスターできる。片手打ちは難しいから辞めろとはならない) と考えますが、片手打ちバックハンドは『それまでの生活・運動経験で同じような体の使い方をしていないから自分で実感しづらい』のが大きく「その理解は普通に教わるだけでは難しい。自分で考えないと理解の入り口にも立てない」です。

それが本当の意味での片手打ちバックハンドの難しさかもしれませんね。片手打ちバックハンドをかっこよく打ちたい方は今回書いたようなことも含め自分で色々考えてみるべきです。テニスを上達させるのは教える人ではなく自分自身ですからね。

 

ガットを張る際、ラケットは"歪む"と言う話 (テニス)

ガットは定期的に張り替える

多くの方がラケットのガット(ストリング)を定期的に張替えると思います。

"ガットが切れた"からという物理的にどうしようもない理由で張り替えることもありますが、 "ガットが伸びる" ことと "経年劣化" で"性能が落ちる"から張り替える (張り替えろ!!) と言われることが多いでしょうか。

「張った瞬間からガットはどんどん伸びていく」と言っても、伸びたラケットのフレームから垂れ下がってしまうようなことや縦糸を引っ張ったら横糸から浮いてしまうということも起こりません。つまり、これ以上は伸びないという値があるはずです。

70ポンドとかラケットの方が壊れてしまいそうな高テンションで張れば、"これ以上は伸びない値"まで物理的に伸びる幅が大きい訳ですが、最近流行りの30ポンドといった緩く張る場合はもしかすると張った状態から"殆ど"伸びない?ということも考えられると思っています。

ガットが伸びると性能が劣化して肘などにも悪いと言われますがメーカーも色んな状況で散々テストしているはずですし、何年も張りっぱなしで使っているという人が居るのも事実です。

あくまで個人の考えですが、これらの事からガットを張り替えるのは「性能の変化」より「打感の違い」が生じるためではないか?と思います。

よく「冬場はボールが飛ばないからテンションを落とす」と言いますが5ポイント程度落としても物理的な飛びは殆ど変わらないでしょう。(張って2週間のラケットを本人に黙って張って3ヶ月後のラケットと交換しても多分気が付かないですよね。。)

逆に「冬場はボールが硬く感じる、打感が硬くなるからテンションを落として調整する」なら納得感があると思います。

「硬い打感のガットだからテンションを落として打感を調整する」も同じですね。硬いガットは飛ばないからテンションを落とすと言われるより断然理解できます。

張る人によってガットの性能が変わる?

よく「ガットを張る人によってガットの性能が変わる」と言われます。「あのお店は張るのが下手だとか」という噂話はよく耳にしますね。

私はラケットもガットも使い慣れていれば正直何でも良いと思っている(あれこれ試して自分の現状が分からなくなる方が困る)ので、量販店で当日張りしてもらうのに特に疑念もないのですが、ガットを張る技術を売りにしているお店があるのも事実です。

上の「ガットが伸びると性能が劣化する」話も同じですが、同じ人が張ったとしても日によって状態は変わるだろうし、同じお店でも張る人は違ったりする。プロ選手は『(性能もだが)張りたての打感を常に使いたい』から試合毎に毎日何本も張替えるし、道具トラブルなどの不確定要素在が生活に直結するからその除去にシビアなのは当然です。

我々が毎日ガットを張り替えるのはまず無理だし、そういう技術を持つ方に張っていただける環境にある方は羨ましいですが変に拘りを持ってしまう方が自分を縛ってしまう形になるのでは? とも思います。

 

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ガットを張るとラケットが歪む

テニスラケットのガットは写真のようなガット張り機を使って張りますね。

ガット張り機 ClipMate

張る際は、縦方向のガットをまとめて張る、横方向のガットをまとめて張るという工程を踏む (縦横交互に張っていく訳ではない) ので、我々が指定する何ポンド(何キロ)のテンションで張るかという条件に対して、ラケットの構造やストリングパターンの違い、ラケット面の大きさ等によって張る際の細かな調整が不可欠になるようです。(縦糸に対して横糸は何ポンド落とさないといけない等)

さもないと数十キロ (50ポンドは約22.7kg) の強さでガットに中心方向へ引っ張られ続けているラケットのフレームは簡単に変形してしまうそうです。

少し前に「スピンがかかりやすい」という触れ込みで16x15といった通常の16x19より横糸が4本も少ないラケットが販売されていました。こういったラケットは特に縦横の張りの強さに調整が必要になるようです。

ラケット毎の設定条件一覧

ガット張り機に付属していた各社のそれぞれのラケットについてこういう条件で張りなさいという設定がかかれた資料です。

ラケット毎のガット張り設定資料

そんなことはしませんが、ラケットのフレームを両手で抑えて両側からぎゅっと押さえつけるようにすれば歪みそうなのはわかりますね。

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手元にあるラケットの歪みを確認してみる

この話を聞いたので、手元にあるガットの張ってある2本のラケット張ってないラケットのサイズを簡単にですが図ってみることにしました。

ラケットはWilsonのProstaff97です。

Wilson Prostaff97 1

Wilson Prostaff97 2

張ってある2本は約2ヶ月前、約20日前にそれぞれ張り替えたものですが、張った人はそれぞれ別の方 (スクールコーチ)です。どちらも同じテンション(48P)で張ってます。

まず、張っていないラケットのサイズを確認

縦糸のもっとも長い部分の長さ、横糸はPWSの部分(Wilsonの一部ラケットにある両サイドの内側に膨らんでいる箇所)で図りました。

縦糸部分

32.3cm位です。 

Wilson Prostaff97 縦糸部分1

横糸部分

23.9cm位です。

Wilson Prostaff97 横糸部分1

ガットが張ってある1本目のラケットA (約2ヶ月経過)

縦糸部分

32.5cm位ですね。

Wilson Prostaff97 縦糸部分2

横糸部分

23.8cm位です。

Wilson Prostaff97 横糸部分2 

ガットが張ってある2本目のラケットB (約20日経過)

縦糸部分

32.4cm位ですね。

Wilson Prostaff97 縦糸部分3

横糸部分

23.9cm位です。

Wilson Prostaff97 横糸部分3

 

 

 

数値を一覧で確認

  縦糸部分 横糸部分
ガット無し 32.3cm 23.9cm
ラケットA 32.5cm 23.8cm
ラケットB 32.4cm 23.9cm

大雑把にですが、ガットが張っていない状態から、

ラケットAは縦糸部分が2mm長く、横糸部分が1mm短い。

ラケットBは縦糸部分が1mm長く、横糸は変わらない。

といった状態になっています。

それぞれ打ってみた印象が異なる

ガットを張った方が違うのでこの数値がそのまま反映されているのかはわかりませんが、ガットを触った感じでラケットBの方は縦糸がやや緩いのか明らかに動きやすいのはすぐに分かります。張り自体がゆるい感じはないのですが、ガットをラケットのフレームで交互に叩いてみると微妙に「キーン」といった音が混じります。

一方、ラケットAは数値から見て横方向にフレームが狭まって縦方向に膨らんでいるようですがこちらは叩いてみても変な音はしません。

両者を打ち比べてみると張って20日のラケットBの方がボールが飛びにくく、やや扱いづらい印象があります。ボレーを同じように打ってもボールの飛びが安定しづらいですす。 

ラケットAの方は2ヶ月経っていてラケットAよりテンションが落ちているでしょうから単純な比較は難しいですが、ラケットAよりもボールが簡単に飛ばせる印象を受けます。

ガットを張ることでどちらもフレームが縦横に歪んでいるがラケットBの方が縦横でバランスが取れている (飛びやすいと感じる方向に反映されるのがいいのかは別にして)ということかもしれません。

一括りに「ガットを張るのが上手い、下手」と言ってしまえるのかもしれませんが張り方というより調整の技術という感じでしょうか。上の写真のようなラケット毎の設定資料は必ず入手できる訳ではないですから、この辺りは経験や知識が必要なのかもしれませんね。

なぜサーブは"薄いグリップ"で打つのか? (テニス)

サーブは難しい?

サーブを打つのは難しいですね。

理由の1つは、ストロークやボレーに較べてボールと目との距離が遠くなるし、トスして空中に浮かぶボールは距離感の目安となる物体が周囲に無くなってしまうこと。

我々がボールとの距離感を把握するほぼ唯一の方法が目からの情報なので、水平方向に自分に近づいてくるボールより、空を背景にして垂直方向に上がって下に落ちてくるボールの方がその位置は把握しづらいです。

テニス トスしたボール

サーブを特別なものとして考えすぎることも理由となります。

ストローク、ボレー、サーブと別々に打ち方を教わりますが、同じ側のラケット面で同じように前方にボールを飛ばすという点は共通します。(「ボレーはスイングしない」は時間の無い中、ネット際で速度の落ちていないボールを打つ、遠くまで飛ばす必要がないといったボレーの特性上『正確な当たりで反発に特化する』ためであり、スイングしながら打つケースもありますね。)

前方向へ腕を振るのですから身体や腕の使い方は共通してくると考えるのは自然です。まず、ボールが飛び回転がかかる理屈人の身体の機能や仕組みを確認し、それらを踏まえてラケットを使う、ボールを飛ばすということを考えていければ我々が感じている"サーブの難しさ"ははるかに小さくて済むのだろうと思います。

フォアハンドスライスの打点を上げていくとスライスサーブになる

野球のオーバースローとサイドスロー(或いはアンダースロー)は全然違う投げ方をしているように見えて実際は体の使い方は共通しています。

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テニスで言うなら、フォアハンドスライス(或いはラケット面を大きめに動かすスライスボレー)は薄いグリップで打ちますが、その打点の高さを肩以上に上げていくとスライスサーブの打ち方になります。

フォアハンドスライス

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打点を上げるとスライス回転のサーブになる

フォアハンドスライス型のリンゴの皮むきサーブ

ただし、フォアハンドスライスの打ち方では、"ボールの外側下(右利きなら右側下)をラケット面で触り、ラケット面で撫でるように回転をかけている"ので、"リンゴの皮むきサーブ"と言われるようなサーブになります。

ラケットでボールの右下を触る

トップスピン系のストロークに較べてスライスショットはボールの速度が出せませんね。ラケット面がボールに対しオープン(上向き)を保ったままなことで腕の使い方的にラケット速度が上がりづらいためですが、この打ち方で"リンゴの皮むき"サーブを打ってもボールは(右利きなら)左に曲がりながらもバウンド後失速するサーブになります。

改めてプロ選手が打つスライスサーブを見ると、バウンド後、ボールは相手の肩位の高さまで到達します。(敢えて高くバウンドしないスライスサーブも打てますが。)

フェデラー選手のサーブ練習

ボールに回転をかけるのはプロしかできない技術ではないので我々でも速度は遅くても曲がった後にある程度弾むスライスサーブは打てるはずです。

ただ、我々が打つスライスサーブは高くバウンドしたりせず多くの場合バウンド後失速します。その違いは技術以上に打ち方(身体の使い方)及びラケット速度の速さ(プロより遅いという意味ではなくラケット速度を上げる方法を考えるという意味)にあると思います。(後、"打点の高さ" をどう使うか。打点を高く取るのは、"確率を上げる"ためでも、"威力を出すため"でもなく、バウンドを高くするためという感じです。ボールが高く弾むのは回転より軌道の高さです。)

なお、ここで「スライスサーブでは横向きの回転をかけているから弾まないのは仕方ない。弾むのはスピンサーブだ。」と言ってしまうのには少し疑問です。フォアハンドのトップスピンで「回転により前進する力があるから威力がある」と言うならリターン側の脇を出来るだけ速く通過させるためサーブも前進する力は必要でしょう。『リンゴの皮むきサーブ』と違い、ボールの外側上(上半分)を打つ速度のあるサーブならバウント後もボールは"前向きに"回転し続けると思います。

 

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ラケットを加速させるために腕を加速させる動きを加えている 

サーブでは、ラケットを握る手及び腕の角度の違いにより、ラケットは小指側のフレームからボールに近づき、加速したラケットに引っ張られる形で腕を内側に捻っていくことでインパクト面がボールに向けていきボールと接触する流れになるのは広く知られていることだと思います。(皆が気にする "サーブにおけるプロネーション" 部分ですね。。)

 

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ただし、プロネーション = "インパクト時" に前腕を回転させる動作』という認識を持っているならそれは正しくないと考えます。

※因みにプロネーションは前腕(肘と手首の間)にある2本の骨が捻れて発生します。"手首は回りません"。手首の関節に回転する機能はないですから。

多くの人が思い浮かべる『サーブにおけるインパクト』ラケットと腕が一直線になった状態でしょうが、この状態で前腕が回転しても"ラケットは中心線を軸に面がクルっと回るだけ"です。

サーブ インパクトで腕とラケットが一直線

「それがサーブにおけるプロネーションでしょ?」と思うかもしれませんがこのラケット面が回るだけの動きで"サーブに威力が出る"、"回転がよりかかる"という説明は説得力がないですよね。(ラケット面が回るだけですよ??)

私は、サーブにおけるプロネーションが意味を持つには『前腕とラケットに角度差』が必要だと考えています。

サーブを打つ際、小指側のフレームからボールに近づくというのは(その理由は分からなくても)広く認識されており、ボールに近づく中でラケット面をボールに向けていくのは当然だと思うかもしれませんが、ただラケット面がボールに向いていくだけでなく腕とラケットの中心線に角度差があるから、サーブのスイングの中、ラケット面は長く移動する距離が取れラケットの加速に繋がると考えます。その大きな移動(前進)の中でラケット面はボールを捉え回転がかかると考えれば『プロネーションで威力が出る』という話も理解できる余地が出てきます。

 

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腕とラケットが一直線になる状態と比較して考えてみてください。

これは別に難しいことではありません。サーブで使うコンチネンタルグリップは「包丁を持つように握る」と言われますが、英語では『Chopper (斧・なた) grip』と言います。斧やナタを握る際は前腕とそれらの柄に角度を付けて握るのが自然です。日本で言えば『太鼓のバチを握る』感じとか。

ラケットと前腕が一直線になるように握る ラケットと前腕が角度がつくように握る

その上でサーブでは『うちわであおぐように』プロネーションを起こすと言われたりします。うちわを使って自分をあおぐのに前腕とうちわの柄が一直線になるように握る人は居ませんよね。(それでは腕を回して自分の方に風を送れません。)

団扇であおぐ

下の図のように腕とラケットが一直線の状態で回転する、腕とラケット軸に角度差がある状態で回転するのでは "力が作用する点(黄丸)の位置変化" に違いが出るのは明らかですね。

回転軸とボールとの距離

プロ選手が打つサーブで腕とラケットが一直線になって見える写真は撮影した角度的にそう見えるか、打ち終わった後にラケットヘッド側が手を追い越した後だからそう見えるのかなと思います。

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そもそも『ラケットを下から上に振る』からトップスピン回転がかかるのにラケットと腕が一直線になった状態でインパクトをしていたら少し横回転はかかっても縦回転は満足にかからないでしょう。 

"リンゴの皮むきサーブ"を"スライスサーブ"にする 

ストロークやボレーのように飛んでくるボールの運動エネルギーを反発させて打てないサーブでは自らラケットを加速させて生み出す運動エネルギーが全てです。

サーブでプロネーションが強く言われる、小指側のフレームからラケットがボールに近づいてくのは、"物体であるラケットに慣性の法則が働く"ことが大きく関係していると思います。

『停止状態にある物体はその場に留まり続けようとし、移動中の物体はその直進運動をし続けようとします。』

トロフィーポーズの停止位置から腕に引かれグリップ側から動き出すラケットですが、ヘッド側は慣性の法則でその場に留まり続けようとします。結果、グリップを握る手はラケットによって"スイング方向と逆向き(背中側)に引っ張られ"、それに対抗するため前腕は捻れ(回外)、上腕(肩)は背中側に回転(外旋)します。

 

外旋&内旋

ラケット 外旋&回外

サーブ 回外

また、これにより起こるヘッド側とグリップ側の位置の交代が『ラケットダウン』です。

サーブ ラケットダウン

ラケットのヘッド側にゴム紐が結んであってスイングする際、誰かがそれを後ろから引っ張ると考えれば理解しやすいでしょうか? 

『ボールに向けてラケットを持つ腕を振っていく』わけですから、ピッチャーがキャッチャーに向けてボールを投げるように、前腕と上腕(肘)は90度、上腕と体(脇)は90度、上腕と胸は180度以上の角度を保った状態で体の回転に伴う腕を振りを行います。

 

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サーブにおけるラケットダウンを動作の1つとして発生させる(形をつくる) 指導が昔からあるので肘を90度以上に曲げてラケットを背中側に落とす、ラケットを背中に接近させるイメージを持ちがちです。

サーブ ラケット背中に落とす

この状態から肘を伸ばしていき、ラケットを頭上にまっすぐ持ち上げていくとイメージしがちな『スピンサーブの打ち方』に近づきます。

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でも、ボールを投げるために体の前方向に強く前方に腕を振っていくピッチャーは大きく予め大きく曲げた肘を伸ばすようにしてボールは投げません。前述したように何かを持った腕を強く速く振るためには腕の関節に角度と、その角度を活かした腕の振り方が必要です。

鈴木貴男選手のサーブにおける腕の振り方の説明

鈴木貴男選手による体の運動連鎖を用いたサーブのスイングに関する解説です。とても合理的で納得感のあるお話だと思います。実際にプロ選手がサーブを打つ様子をスロー動画で見れば体と腕の各関節の角度、腕とラケットの角度、ラケットを振っていく方向等が説明されている通りだと実感します。

 

 

 

我々が教わる『サーブの打ち方』は20年以上前から変わってない

我々がスクール等で教わる"ボールの打ち方"は、プロ選手らがボールを打つ様子を簡単に見られない、スロー動画で確認できなかった時代に静止画や連続写真を見て考えられたものかなと感じます。テニスの指導では昔から『形をつくること』が中心になります。当然ですね。写真のマネをさせている訳ですから。

私は『フォーム(form)』とは『(停止状態である)形』より『型』を指すのかなと思います。空手などの武道における"型"は一連の動き方そのものであり、その流れるような動きを構成するのは無駄のない自然な体の使い方ですね。 

アンディ・マレー選手のスライスサーブ解説

前置きが長くなりましたがフォアハンドスライスの打点を上げることで打てるリンゴの皮むきサーブをラケット速度の速いサーブの打ち方に変える点です。

マレー選手のサーブ動画

『リンゴの皮むきサーブがボールの外側下を触る。その際、オープンなラケット面のまま触る事で(回転をかけるのは簡単でも)ラケット速度が出ない』のであれば、望ましいスライスサーブは『ボールの外側上にラケット面が接触する。ラケット速度を速く保つためプロネーションによりラケット面が回転していく中でインパクトする』という感じでしょうか。ボールの下側を触るのと違い、上側であればプロネーションにより腕を捻りながらラケットを回転させることでラケットを大きく加速させつつ振り抜いていくことが可能です。

また、ボールと接触する位置 (ボールからエネルギーが加わる位置)が外側上ではなく上側に集中すればスピンサーブに必要な縦の回転になります。

スライスサーブとスピンサーブは違う打ち方で説明されますが回転がかかる理屈から言えば親しい関係という事。また、物理現象としての回転を発生させる方法は何でもよい (スライスサーブの打ち方で当たり方を変えてもいい)と言うことだと思います。

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ただし、「リンゴの皮むきサーブのようにオープンな面でボールに触り続けるとラケット速度が上がらないから、腕の捻れを使ってラケットを加速させ、プロネーション等を使ってラケット面を回転させる中で打つ」とは言っても、ラケット面が回転し続ける中で正確にボールを捉えるのは至難の業です。

結果、「スライスサーブを打つ際はプロネーションを少し遅らせてインパクト後にラケット面が回転するようにする」と言われますね。リンゴの皮むきサーブの当たり方に近い状態でインパクトの安定感を出す訳ですが、タイミングはずらしつつもラケット面は回転させている訳なのでラケット速度は確保できるという現実的な折衷案という感じです。

マレー選手の動画でもスライス回転をかけるように打っているのでインパクトではラケット面はやや斜め (フォアハンドスライスで言えばオープンな面の状態)に当たっています。

 

 

 

なぜサーブは"薄いグリップ"で打つのか? 

かなり遠回りをしてしまいましたが

『コンチネンタル等の薄いグリップでサーブを打つ理由は"体に近い打点"でボールを打つため』だと考えます。

上で、フォアハンドスライスの打点を上げると(リンゴの皮むき型ですが)スライスサーブのスイングになると書きました。

逆にフォアハンドトップスピンの打ち方を保ったまま打点を肩よりも上まで上げていくとスライスサーブとは曲がる方向が逆の『リバースサーブ(右利きなら右側に曲がってシュートしていくサーブ)』になります。

フォアハンドトップスピンの角度を上げて打点を高くしていく

高い打点のフォアハンド

ロソル選手のリバースサーブ

フォアハンドでボールの上側に力を加えている訳なので、腕を振る角度を上げて行けば自然と(右利きなら)ボールの左側を打つ形になりますね。

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トップスピンの打点を上げていく

フォアハンドのトップスピンの打点を上げた状況なので『厚いグリップで、横向きから回転させてきた体が目標にしっかりと正対した段階で、体(肩)よりも前の打点で打つ』ということになります。

サーブの打点で言えばこんな状態。

厚いグリップで打つサーブ

これは『羽子板サーブ』と言われる極端に厚いグリップで打つサーブと同じ状況ですが、注目すべきはフォアハンド同様に厚いグリップで打つということは、打点は体よりも前になっていくということです。

リバースサーブはフォアハンドの逆クロスをシュート気味に打つのと同様、ボール速度が上がらず相手の意表を突くという意味以上のものはありません。我々が打ちたいのは速度が速いサーブ、(右利きなら)左方向に曲がっていくサーブな訳ですからベースになるのはフォアハンドスライスのような回転のかけ方と言えます。

フォアハンドスライスはコンチネンタル等の薄いグリップで打つし、回転をしっかりとかけるには体に近い打点でボールを捉える必要があります。

サントーロさんのフォアハンドスライス

つまり、フォアハンドスライスと同様の回転のかけ方をするスライスサーブ、その回転軸が多少異なるだけのスピンサーブは同じ条件を満たす必要があるということになります。 『使用するのは薄いグリップ』であるし『打点も体に近い位置でボールを捉えるべき』だということです。この両方が揃わないとスライスサーブ(スピンサーブも)に必要な回転がうまくかけられません。

フラットサーブを基本として教わることで、薄いグリップで打っても"打点を前に"とってしまう

テニスを教わる際「フラットサーブが基本だ」と説明されますがそれが回転をかけたサーブを打つのを難しくしてしまっていると感じます。

フラットサーブは回転をかける必要がないので横向きの状態でトスを上げた後、体を回転させ、"目標方向に体を完全に正対させた状態"でボールを捉えます。

また、体が目標に正対しているため、力を入れられる打点の位置は "利き腕の肩の前、体よりも前"に取ることになります。こんな感じですね。

フラットサーブは打点を前に取りボールを叩き落とすイメージ

サーブ打点前1

サーブ打点前2

打点位置とスライス回転について再確認

フォアハンドボレーを打つ際、グリップの厚さは別にボールを打つ打点を利き腕の肩の前、体よりも前の位置で取ってしまうと体の正面に向けてボールを飛ばす際にスライス回転をかけるのは極めて難しくなります。前の打点でフォアハンドスライス

これは体の向きとラケット面がスライス回転をかける条件に合っていないためです。

ボールに対し横向きを取り、薄いグリップで体に近い打点で打てればスライス回転をかけるのは簡単です。

踏み込んで打つ打つフォアボレー

※この2つは体の向きが変わっただけで利き腕肩と腕の位置関係は同じです。

フォアハンドを薄いグリップで打つ特性を活かし、体が横向きから回転する途中、体に近い打点でボールを打てば無理なくスライス回転をかけたサーブが打てます。

鈴木貴男プロのナチュラルスピンサーブ説明

繰り返しますが、薄いグリップでサーブを打っても打点を体よりも前に取り、腕とラケットが一直線になる状態でインパクトをしてしまっては、ボールはまっすぐ飛ぶだけだし、打点がもっと前なら下に向かって飛んでいくでしょう。(ネット際で打つスマッシュなら有りです。)

フラットな当りのインパクトイメージ

薄いグリップで体が回転しきって正面を向く前、横向きが残っている間に体の近い打点、右利きなら体よりも少し右側にトスされたボールに対して、右方向に打っていけば自然と回転がかかったサーブになります。

スライスサーブのインパクトイメージ

逆にこの状況でフラットっぽいサーブを打つ方が難しいでしょうか。

 

 

「サーブに薄いグリップで打つ」には当然理由がある。薄いグリップで打てば回転がかかる訳ではない。

このようにサーブを教わる際に言われる「サーブは薄いグリップで打て」には当然理由がある訳です。

サーブのグリップの話になると「サーブのグリップはコンチネンタルが最低限。もっと薄くすればより回転がかかる。イースタングリップで打つなんてとんでもない。」といった雰囲気がありますが、コンチネンタルとイースタンの僅かな握りの違いでサーブの回転に大きな違いが発生するはずがありません。「薄いグリップで打てば回転がかかりやすいから」には"理由の説明"がないですよね。

フラットサーブやスマッシュのような回転をかけないオーバーヘッドの打ち方を基本として教わるので言われるように薄いグリップでサーブを打っても体より前の打点、ラケットヘッドが頂点を迎えて以降にボールを捉えてもスライスサーブやスピンサーブのような我々が望む回転がかかるはずもないですからね。

因みにですが、空気抵抗や重力等の諸条件を考えなくても、計算上、身長2mの人が無回転のサーブを打つとしても、ベースライン中央からネット中央の一番低い部分を通す最短ラインでも最上部の白帯の上10cm程の空間を必ず通さないと入りません。(ボールの直径は6.54~6.86cmなので、ほぼボール1個分の空間を通すということ。)

テニス 身長が2mあっても無回転のサーブは入らない

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皆が回転をかけないという意味で言うフラットサーブは "自分では関与しようがない重力や空気抵抗でたまたま入っている" だけスマッシュの練習以外で回転をかけない"サーブの打ち方"を練習する意味はないと思います。

回転をかけないで打つ打ち方はスマッシュ等で使うとしても、サーブは必ず回転をかけて打つ、そのために体をどう使って打つのか、薄いグリップでどうボールを捉えれば必要な回転が得られるのかを考えることが必要だと思います。

サーブを教わってもフラットサーブとスライスサーブは打ち方が違うという説明で終わってしまいますからね。一生懸命、教わるスライスサーブの打ち方を実践しても回転はかかってもバウンド後弾まない、失速するスライスサーブでは勿体ないでしょう。

最後に鈴木貴男選手のサーブにおけるグリップと打点の関係についてのお話です。

鈴木貴男選手 サーブのワンポイントレッスン 

 

書籍: 試合に勝つテニス 鈴木貴男のダブルス講座 (テニス)

スクールではダブルスの基本は学べない

スクールではテニスの基本と言えるボールを打つ練習はできますが、試合形式でプレイする際にどうやって攻め、守ればいいのかを学ぶことは難しいです。

我々が主に行う形式はダブルスです。レッスンの最後にダブルス形式をやるのはお約束ですが、実質コート上に4人居るというだけの打ち合いです。後衛同士は自分が決めてやろうと考えます。その間に前衛は何もできず、逆に「次打つ」と決めたボールに状況関係なく飛びつきます。

スクールはいろんな方が居り「理屈はいいからボールを打たせろ」と言う方も居ます。理屈を教えるよりボールを打たせる練習が中心になるのは広くニーズに応えるには仕方ないです。

『テニス入門書』は意味がない

『テニスの入門書』の多くは『スクールで初心者が教わる説明 (テニスの基本的指導と言われるようなもの) がそのまま書籍になったもの』です。

スクールで教わってもずば抜けて上達する人は居らず、逆に多くの方は上達せず悩みますね。

この事から言えるのは『テニスの上達は完全に自分次第。教わるだけでは上達しない。自ら知識を蓄積し、しっかりと考え、そこから正しい根拠を持ち、それを実践できるようになるべきだ。』ということです。

スクールで教わる内容はこの『自主学習』には向いていません。コーチの教え方が悪い訳ではないです。スクールで教わる内容をそのまま書籍で読んでも尚更実感が湧かないでしょう。だからテニス入門書の類は上達には全く結びつかないと思っています。

(スクールで教わる事を整理・確認する位の用途です。学校の授業で教わることと全く同じ事が書いてある参考書を買うようなものでしょうか。)

因みに「自分は雑誌や本を読み、選手の動画も沢山見る。聞いたコツもやっている。それでもなかなか上達しない。」と言う方は『情報は集めても考えていない』のだと思います。私も以前はそんな感じでした。

なぜボールは飛び・回転がかかるのか? それとラケットの関係は? それらを効率的、安定的に再現する体の使い方は? 体の機能や仕組みは? そう考えていくとどのスポーツでもやる事は定まってきます。我々が教わる"ボールの打ち方"はそれが欠けていると感じるのです。

 

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ダブルスのやり方は書籍で学ぶ

ボールの打ち方ではなくダブルスのやり方は書籍で学べます。

ダブルスは2人で攻守するためシングルスよりもセオリーとなる事柄が決まっており、状況に応じたセオリーに基づいたプレイがポイントを取る、ポイントを失う確率に直結するからです。

ダブルス関連の書籍の多くはダブルススペシャリストの方が監修されており、ダブルスの基本 + 経験から得られた知識の提示もされています。基本的な約束事(セオリー)はおおよそ決まっているのでどの書籍でも教科書のように最初から読んでいけばダブルスのやり方を学べるようになっているということです。

テニスの入門書の類を買う意味はないですが、ダブルス関連の書籍は買う意味があります。ボールの打ち方と違い、ネット上の情報などダブルスの基本を書籍以外に学べる十分なソースは現状ありませんからね。

試合に勝つテニス 鈴木貴男のダブルス講座

先日、岩渕プロのダブルス関連書籍を購入しましたが、気になっていた別の一冊、鈴木貴男プロの『試合に勝つテニス 鈴木貴男のダブルス講座』も購入してみました。

鈴木貴男のダブルス講座 1

書籍としては岩渕プロの本よりも薄手ですがその分、1,400円(+税)とお手頃でもあります。

鈴木貴男プロの指導について

これまで鈴木貴男プロのテニス関連書籍は何冊か購入した事がありますし、YouTube等で公開されているレッスンイベントの動画も参考にさせていただいています。  

「こうやって打ちなさい」と打つ形を指示されるではなく「こういう理由からボレーはこう打つのが良いのです。こうやって打つとミスをしなくなるんですよ」という説明です。

サーブの打ち方、回転がかかる仕組みをこのような内容で説明するのを聞いた事があるでしょうか?

鈴木プロの指導の特徴

鈴木貴男プロのレッスンの特徴は『なせそうするのかという根拠に基づいて説明がされること』に尽きます。

「サーブは薄いグリップで打たないといけない。その方がボールの威力が上がるからだ」では説明になっていないでしょう。

鈴木プロの指導を理解する

一方、説明を聞くにあたり注意すべきは『鈴木プロと自分と同じ知識を持ち、理解をすることを求められる』点です。

鈴木貴男プロの説明は常に一貫しており、どのレッスンでも同じ理屈に基づき説明されます。鈴木プロが普段から説明している内容を事前に予習し、ある程度理解した上でないと、イベントに参加しても期待した『うまく打つコツ』ではなく、『理屈の理解』を求められるので皆戸惑うし、何回イベントに参加しても理解がなければ鈴木プロが言うようには打てるようにはならないでしょう。(それでも初対面で当たり障りのない標準的な指導をされるレッスンイベントよりマシですが。)

だからこそ自主学習に役立つ

ただ、前述した通り、テニスの上達には自主学習が必要であり、そのために知識を集め考えることが重要鈴木プロの説明は一般的なレッスン内容を聞き、説明を受けるよりもそれに向いた内容になっていると思います。

 

 

 

内容は?

実業之日本社で出版されてきている鈴木貴男選手の『勝つテニス』シリーズの最新刊 (といっても発売は2015年) になります。

サイズは20.8 x 14.8cm、これまでの書籍と同様のサイズ感で先日の岩渕プロの書籍とも近いA5の手帳に近いです。ページ数は159ページで厚みは1.3cm、岩渕プロの書籍が191ページあったのでだいぶ薄く感じます。一般的な文庫本位の厚さですね。

中はモノクロで、黒 + オレンジの配色です。

鈴木貴男のダブルス講座 2

この配色は、岩渕プロのダブルス書籍と同じですが、レイアウト、文字の配置、写真の大きさ、全てにおいてこちらの書籍の方がはるかにこなれていて見やすいです。

※因みに、実業之日本社で発売された過去の勝つテニスシリーズ (鈴木貴男のスライス系ショット完全レッスン、鈴木貴男のサーブ&ボレーレッスン等) は内容が薄く読んでも全然参考になる感じがしませんでした。今回のダブルス書籍を見てそれらは編集側の問題もあったのかなと感じます。

章分け 

章分けは以下のようになっています。

1.ダブルスはポジションで勝つ

2.ポジショニングの基本と応用

3.前衛の戦術と攻撃法

4.レシーバー側の戦術

5.陣形別の戦術

6.サーバー側の戦術

7.ダブルスに強くなる心得と練習法

各章20ページ程、前衛の戦術と攻撃法の章はやや割り当ててあるページ数が多く、最後のダブルスに強くなる心得と練習法の章は少なくなっています。

鈴木貴男のダブルス講座 3

レイアウトを見るだけでも分かりやすい感じは伝わるでしょうか?鈴木貴男のダブルス講座 4

岩渕プロのダブルス書籍に較べて、文章量に対し、各写真のサイズが大きめに取ってあるので見やすいです。

ただ、文章中の説明と写真、図(写真中の数字や矢印)の関連付けがわかりづらい部分があり、「自分がこの位置に居ると、相手はここに打ててしまいます。」の説明がどの写真のどの部分を言っているのかわからないということが有りました。

 

 

 

ダブルスで最初に理解すべきはポジション

ダブルスの練習と言うと、陣形、前衛と後衛、攻撃と守備といったキーワードが浮かびますが、この書籍で最初に2章をかけて説明してあるのは『ポジション』についてです。

ダブルスに慣れている方なら当然という感じでしょうが、スクール等でダブルス形式の練習をする際、圧倒的に不足しているは"ポジションについての理解や認識"です。

ダブルスはコート上に4人居て、自コートは自分とパートナーで攻守を担当します。

相手側がボールを打つ際、打つ相手の位置から自コートのライン内に無理なく収まる角度は決まってきます。その扇型に広がる角度を2分割し、半分を自分、半分をパートナーで担当するのが守備の基本です。

ダブルスのポジション

テニスでは必ず相手の打つボールのコースを事前に予測するのが前提です。打つコースが予測できているのと、相手が打ってから動き出すのではボールに追いつくのに1秒以上の差が出るでしょう。

ダブルスでは2人で攻守するので、その予測を前提に「自分が今、どの位置にポジションを取れば、攻撃しやすいか、守備しやすいか」を考えながら、場所を移動しつづけます。ダブルスの雁行陣を教わる際、「味方後衛が打つ時は下がった位置、味方後衛が打ったボールを相手前衛が取らなかったら、前に出て、相手後衛が打つボールをポーチする。」といった風に教わりますが、後衛同士が打つボールの速度が速くなれば、そんな前後の動きでは追いつけませんし、ボールに合わせて4人の位置は動き続けるのでそんなシンプルではありません。 「次にボールを打つ相手の位置、ボールを打ってくる確率が高いコースに対し、自分がどこに位置すべきか」コート上に居る4人がそれぞれにそう考えて動く中、構成されるのがダブルスの動きになります。

ボールは必ず自分よりも前に居る相手から自コートに向かって飛んでくるので、相手の位置から飛んでくるコース幅を2人のポジションで消して行けば、自分よりも後にあるスペースは考えなくてよくなります。また、サイドギリギリ、クロスのネット際などは相手がしっかりと構えて打てない状況ではミスする確率の方が高くなります。(構えて打つ場合はそれに応じたポジション)

※前衛が頭の上を抜かれるのは相手の状況を見てロブを予測できていないから。スマッシュは無理でも触るだけのハイボレーでしっかりカットすれば簡単に選択できなくなる。ロブに対するポジションチェンジは"対応上やむを得ず"行うもの(マイナスの行為)で『上げられる即ポジションチャンジ』という思考は"問題先延ばし"、"失敗のリスクから逃げている"だけです。女ダブではロブが多用されますがポジション取りと短い距離でもしっかりと狙って打てるなら長いラリーは不要だと思います。

鈴木貴男選手ならではの説明と表現方法

ダブルスの基本が学ぶというだけでなく、全編、鈴木貴男選手らしい解説になっていると思います。 

章分けから、最初から順番に読んでいけばいい教科書のような作りになっていますが、単にダブルスの基本を説明していくだけでなく、鈴木貴男選手の経験から「基本ではこう言われるが自分はこう考えた方がやりやすいと思う」といった情報が盛り込んであります。戦術あり、ダブルスで考えるべきことあり、パターン毎の対処方法あり、技術的なことやアドバイスあり。190ページ程の薄い本なのにかなりの情報量があります。

ボレーを打つ際に足の使い方、ボールを打つ前後の動き方など、ダブルス以前のボールを打つ方法へのアドバイスもあります。(これらは鈴木貴男選手の一般向けレッスンで良く言われていることです。)

鈴木貴男プロは「テニスに初心者向けもプロ向けもない。最初からプロがやるようなテニス (技術が高いということではなく、"本当のテニス"という意味)をやるべきだ。」というお考えなので、この書籍もこれからダブルスを学ぼうという方もある程度ダブルスをやってきている方でも、広く参考になる内容になっていると思います。

値段もお手頃ですし、『ダブルスのポジション取り』を中心に扱った書籍と合わせて読んでみるとよりダブルスへの理解が深まる気がします。