lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

なぜ、ベルディヒ選手はフェデラー選手に勝てなくなってしまったのか? (テニス)

トマーシュ・ベルディヒ選手

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チェコのプロテニス選手で年齢は32歳、シングルスは最高4位、2010年~2016年まで守ったTOP10から落ちてしまったものの今もTOP20をキープしています。

2010年にブレークした感じで同年の全仏ベスト4、ウィンブルドン準優勝など。以降も大会上位の常連でどの選手も当たりたくない相手だと思います。

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ベルディヒ選手 (名前の日本語表記は様々あり、これはWOWOW風です)の特徴は196cmの身長を活かしたサーブとフォア、バックとも角度を付けてがっつり重いストロークを打ってくるところ。

体全体を使って打つフォームではなくカウンター気味にラケットを合わせて打ってくるのにボールに威力はある、体勢悪く当てて返すだけでもチャンスボールになったりしないので相手に攻め込まれにくく、一発でポイントを取れるショットを持っているといった所かと思います。

 

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フェデラー選手とベルディヒ選手

フェデラー選手とベルディヒ選手の対戦成績はフェデラー選手から見て20勝6敗です。かなり勝ち越しているように見えますが、2009年までは8勝1敗、2010年~2013年は3勝5敗、2014年以降は9勝0敗です。

つまり、ベルディヒ選手がブレークした2010年からフェデラー選手がProstaff97とエドバーグコーチとのコンビで復活する前年、2013年まではかなり苦戦した相手でした。

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復活前の数年のフェデラー選手はナダル選手にやられ続けたように多くの選手にバックハンド側を狙われ、スライスで返球すると強打され、スピンで返球しようとするとミスなど攻守にバランスの悪い状態だったと思います。

特に、このベルディヒ選手や2014年のUSオープンで破れたチリッチ選手(ご存じの通りチリッチ選手は錦織選手に勝ち優勝)のようなサーブが速く、パワーのあるストロークで押し込んでくるタイプの大柄な選手が苦手だった印象があります。

フェデラー選手がチリッチ選手に負けたのはこの1回だけですが同じようなタイプの選手に苦戦するイメージはありました。(敢えて言えば、フアン・マルティン・デルポトロ選手とかも。)

ナダル選手は苦手であってもまだ自分のテニスで戦えてはいた。逆にこれらの選手には一方的に攻められてしまうケースが多いといった違いがありました。

2012年 マドリッド決勝

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マドリッドは有名な大会ですが、この年はレッドクレーを青く着色するという取り組みがされた年でした。(トーナメントディレクターだったサンタナ氏のアイデアだったとか。否定的な意見が多く翌年戻しました。)

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また、決勝のボールパーソンは毎年、モデルさんが担当するという特徴もある大会です。

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この試合、フェデラー選手は1セット目3-6で簡単に落とし、2セット目もあわやタイブレークという綱渡りな試合運び。ベルディヒ選手の2バウンド疑惑とかもあって、紙一重という感じで勝った試合でした。

フェデラー、なぜ2バウンドしたと言えるのか科学的に説明

「2バウンドする前にラケット面で拾ったならああいう飛び方にならない。バウンドして上がってきた所を打ったからだろう」と説明するフェデラー選手。 

決勝にはウィル・スミスさんが訪れており表彰式に参加していました。(多分メン・イン・ブラック3のプロモーション) 表彰式前に居るのがバレていましたけど。

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復活以降負けていないフェデラー選手

2014年の復活以降、フェデラー選手はベルディヒ選手に負けていない訳ですが、去年と今年の無双状態の好調さは別に、他選手に攻め続けられたバックハンドの改良がラケットの変更と合わせて完成の域になり、スライスを使わずにトップスピンだけで相手と打ち合い、逆にエースを取ってしまえるまでになりました。

2014年こそ、サーブアンドボレーが起点となってはいましたが、ベースラインから下がらず相手選手よりも僅かに速いタイミングで打つストロークに相手が反応できない、追いつけないケースが目立つようになり、それとスライスやドロップショット、コースの使い分けなど様々な攻撃パターンの中で相手にポイントを取らせない。逆に一方的にフェデラー選手の試合運びに相手を巻き込んでしまうような状態で今のグランススラム20勝に至っているかと思います。

ただ、フェデラー選手が強くなったからベルディヒ選手に負けなくなったという事とはちょっと違う気がしています。

ベルディヒ選手は32歳でベテランと言えるでしょうが、もともと動き回ってガンガンラケットを振って打つテニスではなく、2010~2013年の頃と今でそこまでテニスが変わっている訳ではないでしょう。

当然、以前の方がよく動けていたでしょうし、周りの選手が進化している訳なので以前と今ではテニスの内容も変わってきてはいます。

個人的な考えですが、フェデラー選手に勝てなくなった理由は「研究されてしまったから」じゃないかと思います。

ベルディヒ選手の気になる点

ベルディヒ選手のテニスを見て気づくのは両足のスタンス幅です。

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2018年全豪オープン

フェデラー選手とベルディヒ選手を比較すると、スプリットステップでかなり広めの歩幅を取り、その後の移動も歩幅の広い"大きなステップ"を中心にボールに追いつくフェデラー選手に対し、ベルディヒ選手がボールを追う際、殆どがパタパタという細かいステップを用いているのが分かります。足の動く動作に比べて体が前に進まない、簡単に言えば速く移動できないのが分かります。

私達、素人のテニスでもそうですが「足を動かさなくては!!」と細かいステップで地面を踏んでも体は前に進んで行きません。打点付近への移動は大きなステップ、近づいた後の調整とタイミング合わせに細かなステップと組み合わせと使い分けが必要です。これは練習の中で身につけるものでしょうが意識して取り組まないと"個人の癖"は改善されません。スプリットステップの歩幅も広すぎては地面を踏んで1歩目に繋げる力を得られませんが、狭すぎては逆に腰高な姿勢で地面を強く踏めません。(フェデラー選手の歩幅の広いスプリットステップはその後の移動に対する"意識"を感じます。)

ベルディヒ選手は、この移動がスムーズでない点をカバーするため、最初に述べた体全体を使ってラケットをしっかり振るフォームではなく、正面を向いた"がに股状態"で腕から先を多く使ってボールを打つことが多いかと思います。

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ダッシュして加速し、きちんと停止してからボールを打つのではなく、 移動しつつ打っている感じになるのでバランスを崩しやすく(それでも強く打てるのですが)、打った後に相手の次のボールに対応するのがワンテンポ遅れることとなります。

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フェデラー選手がフォアもバックも厳しく強いボールで角度を付けられるようになっていることもあり、上の全豪ハイライトのようにベルディヒ選手が左右に散々走り回されるようなポイントがフェデラー選手との対戦で多くなっています。

ベルディヒ選手は元々ドロップショットなどの対応が危なっかしく、2012年マドリッド決勝でもフェデラーに4本位ドロップショットを決められていたのですが、フェデラー選手のレベルが上がった現状で、元々あったその速く動けない、動いても止まれない所をしっかり付かれて自分のテニスをさせてもらえなくなっているのが近年の対戦成績に出ているのだと思います。

後、ベルディヒ選手のテニスはシンプルすぎると感じます。

サーブとベースラインを左右に移動しながら打つフォア&バックがベースなのですが、フェデラー選手のように球種やコースを様々変えて相手を揺さぶったり、ドロップショットや戦略的にネットを取るといったこともなく、ごくごくシンプルな強いラリーの打ち合いを好むスタイルなのかなと思います。

上でも書きましたが、ズベレフ選手、ティーム選手、パブロ・カレーニョ・ブスタ選手、ゴファン選手、ソック選手、チョン・ヒョン選手、シャポバロフ選手等々、新しい選手はどんどん出てきており、ベテラン選手も含め、男子テニスは毎年"進化を繰り返して"きています。(女子テニスとの差は年月で言えば20年近くあるのかも)

ナダル選手のような唯一無二を持つ選手を除けば才能や身体能力では勝ち残れない状況です。

今、男子テニスの進化の方向性を示しているのはフェデラー選手だと思います。速い時間を与えないテニス (片手打ちバックハンドの可能性も)を皆が取り込もうとしています。

ベルディヒ選手のシンプルな戦術は"地力の強さ"に支えられているものでしょうが、このままだとTOP20を守っていけるかどうかという感じかもしれません。

その辺りが「研究されてしまっている」という点です。欠点から来る攻め方が分かってきただけでなくフェデラー選手の進化が以前は苦労した相手を攻めやすくなったといった所でしょうか。

因みに、同じようにフェデラー選手が苦手"だった"タイプとして上げたチリッチ選手は全米優勝以降少し低迷しましたが、男子テニスの進化の方向性に向き合う姿勢を感じます。チャンスを見てネットを取ったり、シンプルなラリーではなく意図を持った配球で相手にプレッシャーをかけるようなプレイです。サーブは全米時点で改良されていましたし、ストロークはやや安定性にかける部分があるものの強く打ち続けられます。自身の特徴を活かしつつ時代の進化も取り込もうとする。以前のように好不調の波がない安定感。そして今の位置(4位)なのだと思います。

デルポトロ選手は復帰後の今は"好調"な部分が大きい気がします。元々攻撃力が高い選手で他の大型選手と一線を画していますが、チリッチ選手ほどテニスの進化の追従出来ている印象はないです。(どちらかというと進化の流れに居る対戦相手に合わせてプレイを調整してきている感じ。当然、取り込んでる部分はありテニスも変わってきているけど元のスタイルは変えてない。) ただ、足が遅い訳でもないし歩幅も大きい、ボレーやネットもストロークの補完的には対応できる。ベルディヒ選手ほど目に見える弱点がないのも強みです。

この辺はコーチに細かく指導され、"クレバーなテニスをしろ"と指導されてきたであろうチリッチ選手と朗らかな性格で感覚派(?)っぽいデルポトロ選手の違いが出ているかもしれません。

でも、ベルディヒ選手はかなりいい人そう

フェデラー選手に対抗意識丸出しで試合後も敬意を示さないのはキリオス選手位ですが、上記の2018年全豪の試合後の様子を見ればベルディヒ選手の人柄は伝わるんじゃないでしょうか。

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動くのが苦手というのは身長が2m近い選手共通の欠点でもあるので、ベルディヒ選手が今からフットワークを改善するというのは難しいでしょうが、デルポトロ選手やチリッチ選手など、大きな選手が打つ『ビックフォアハンド』は魅力的なので今後もいい試合を見せてほしいものですね。

ちなみに奥様はめちゃくちゃ美人です。

 

Still on board with my 👼🏼 @esterberdychsatorova #travelsafe

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チェコのモデルさんだそうです。

以前から試合の観戦でよくTVにも映っていました。

奥様が美人なのは関係ない? でもInstagramのお二人の写真を見ているとベルディヒ選手がいい人そうなのは伝わってきます。