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書籍: テニス トッププレーヤー ベストショット2018 (テニス)

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テニスマガジンの解説ムック本、2018年版が発売

これまで何度か購入してきていた月刊誌テニスマガジンのムック本『トッププレーヤー ベストショット』の2018年版が年明け1月4日に発売されたので購入してみました。

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このシリーズはこれまで1~3年おきに更新版が発売されており、過去に数度購入して参考にしています。

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前回は2015年版でしたので3年ぶりの更新となっています。

この解説本の特徴

タイトルを見ると『プロ選手がボールを打つ様子を写真付きで解説している本、選手がボールを打つ様子を撮影した写真がたくさん載っている本』というイメージですが実際には違います。

テニスの月刊誌には『選手がボールを打つ様子を連続写真で見てみよう』という企画がよくあり、連続写真を紙面に並べてその解説を載せていたり、”ここがコツだ”といった書き方をしたりしますがそういったものとは違うということです。

この本の特徴を簡単に言うと『プロ選手がボールを打つ様子を見比べてみる。そうするとプロ選手はこういった共通点があり、皆、同じ体の使い方をしている。それはこういう科学的な理由があるからだ。だから皆そういう体の使い方をしよう。』という流れになっていることです。

連続写真を並べて “ここがボールを強く打つコツだ” と解説するのとは大きく違いますね。

テニスマガジン誌が他誌と違う点

硬式テニスの月刊誌は現状3誌あると思います。この内、テニスマガジン誌が他誌と違う点は『ボールを打つということを科学的な面からアプローチしよう』という取り組みをしていることです。

月刊誌の連載記事をまとめてムック本として出すことはよくあります。実際、このトッププレーヤー ベストショットシリーズ以外にも、他誌編集部から、選手がボールを打つ際の写真(月刊誌の特集で使ったもの)をたくさん掲載しているムック本も出たりしています。

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これらは選手がボールを打つ様子をとくかくたくさん見たい方にはいいのかもしれませんが、今の時代、雑誌を買って連続写真を見比べるならプロ選手の練習風景を撮影した動画がスロー動画も含めてたくさんYouTubeで見られます。そちらの方が有用です。

やはり、出版物を買う理由は写真ではなく“その解説が参考になるか”です。

前述したような「ここがボールを強くコツだ」的な解説では実際上達しないのは皆実感があるでしょうし、それが『テニスは難しいから簡単には上達しないんだ』という認識に繋がってしまっているのは少しおかしいでしょう。

近代のテニスは科学的にもかなり研究が進んでいると考えています。

それはテニスに固有の特別な事柄ではなく、スポーツ科学等から来る各スポーツで共通する体の使い方であり、ラケットでボールを打つという”物体が関わること”からくる物理的理解とそれを踏まえた取り組みです。

伝聞や噂話に聞く”コツ”はイメージ的なものが多かったり、根拠が示されていなかったりという事が殆どです。前腕にある2本の骨が捻れて起きる動作でしかないプロネーションがなぜサーブの威力を上げるのでしょうか? 脱力したらなぜストロークの威力が増すのでしょうか?『ラケットを速く振れるからだ』と他から聞いたままを力説されても説明になってないですね。皆それを何となく分かっているのに周りがそう言っているからそれに合わせている感じです。

とは言うものの、テニスマガジン誌に載っている解説が”科学的だから”といって全て正しいかは私には分かりません。

テニスをやっていると「アレが正しい。アレは間違っている」と断言して自分の考えを譲らない人が居ますが、世界的なテニス研究者の話でも”それが絶対に正しいとは誰にも断言できない”と私は考えています。それが初心者の方の話でも簡単に否定するのは誤りでしょう。

その上でも

『プロ選手がボールを打つ様子を見れば共通点があり、同じような体の使い方をしている。その体の使い方は他スポーツでも同様に見られる。ということは体の機能や仕組みから考えればそうやって体を使いラケットを振るのが良いということだろう。因みにそうやって体を使う理由はこういう体の仕組みによるものだ。』

という解説は読んでいて妥当感があり、単に選手の打ち方をマネするよりも遥かに理解が進みます。

マネやイメージは”プレイの再現性には役つ”のですが、自分自身で理解のない、根拠のない打ち方は”自分がどうやって打っているのか分からない・説明できない”ということです。日々の調子の波に左右され、不調になったら戻す術がありません。

毎日ボールを打ち続けても調子は維持できませんし、不調になったからといって過去の良い状態の時の映像を見るというのは他人の映像を見ているのと変わらないです。自分の打ち方が分かっている・説明できるからこそ違いに気づくものです。

スポーツの練習風景を映像に撮る

内容について

今回の2018年版の内容は、サーブ&スマッシュ、ユニットターン、リターン、フォアハンド、バックハンド、ボレーという6つのパートに別れています。以前はユニットターンといった説明はなく、リターンと組み合わせたような解説だったと思いますが、2012年版から今の形になっているようです。

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テニスマガジンのサーブ連載ではおなじみの亜細亜大学の堀内監督など、それぞれのパート毎に別の解説者の方がその説明をされています。

過去、何度か購入している点から見れば解説されている方が変わらないパート (サーブ等)は大きな変化はない印象です。(フェデラー選手を除けば掲載されている写真の殆どの顔ぶれが変わってしまっていますが。。ティエム選手、シャポバロフ選手、チョン・ヒョン選手辺りが載っているのは2018年という感じです。) その点では2012年版、2015年版を持っている方は敢えて買う必要はないのかもしれません。

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逆にテニスマガジンの連載が参考になると思っている方は、各連載のベースにある内容をまとめてムック本にしたものと考えれば手軽で参考になると思います。(当然、連載を毎月読んでいった方が情報量も多いはずです。同等とは言えませんから。)

ただ、絶対に言えるのは『理解するには知識が必要』ということです。

テニスマガジンの連載自体、ぱっと見て参考になるようなものではないです。何か専門的な講義を聴講するにも説明されている内容、言葉の意味が最低限理解できていないと聞くだけで終わってしまいますね。

テニスの上達は自分次第です。コーチがつきっきりで上達するまで教えてくれる訳でもなく、普段、見聞きするボールの打ち方や説明は多分にイメージ的で分かりづらいです。結局、各自が思うように打ってみて打ちやすいと思う打ち方をやってみる。そういった“個性が大きく許容される中で皆がその個性(癖)故にミスを繰り返して”います。

目に見える範囲、簡単に手が届く範囲にないので手に入れるのが難しいですが、能動的に自ら必要な知識を集め、整理・理解し、”自己学習で”上達を目指すしかありません。自分の持つ知識が噂話や伝聞から来るコツの類では思うように上達しないのは皆実感しているはずです。

内容の話に戻ります。

ひとつだけ気になるのは『リターン』の部分です。

前述したようにテニスマガジンの連載は科学的な根拠に基づく説明が参考になると感じています。2015年版は今手元にないので読み返せないのですが、このリターンのパートはテニスマガジンらしさがないと感じました。

『前傾姿勢を取る、スプリットステップをする、肩を入れる、重心を下げる、ボールの速度を利用する、体重を乗せる、捻り戻しを利用する』

タイトルを見て分かる通り、これはコツの範疇でしょう。

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テニスの指導としては一般的でも、選手の写真を見せて”これをマネしなさい”というのは他誌にまかせておけばいいと思いました。

テニスの上達は自分次第、自己学習が重要、でもそのための環境は整っていない

過去、購入した本シリーズの中で一番印象深く、(当時では)参考になったと感じたのは2009年発売のトッププレーヤーベストショット999だった気がします。

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現在と較べても荒削りな編集で手探りな感じでしたが読者の参考になるものを作ろうという意気込みのようなものがありました。

テニスマガジン誌はオンコートのレッスンイベントを毎月のように開催したり、Webサイトもうまく使おうとしていたり、連載含めて他誌とは違う取り組みをしています。

他誌がYouTubeに載せる動画はほぼ無編集の単なる撮影、Webサイトも次号案内とプレゼント位です。本業ではないしそれでお金が稼げる訳でもないのでリソースを充てないのは止むを得ないでしょうが勿体無い部分ではあります。

テニスマガジンの取り組みは多少、商売っ気(お金儲けという訳ではないです)も感じてしまうのですが、乱立するゴルフ雑誌同様、多少視点が違うだけの同じ企画を1年サイクル位で使いまわすような記事では、読むのは楽しくても上達にはあまり役立たないと考えているので、テニスマガジン誌には期待をしてしまいます。(○○メソッドとか、○○式とかアプローチが違うだけで要は普段見聞きする指導内容と変わらない。)

因みに上達を目指してテニスイベントや練習会に参加される方も多いと思いますが、テニスマガジン主催の練習会は“連載している内容をオンコートで指導するもの”なので、連載内容をきちんと理解できていな状態で出ると”ただのボールを打つ機会”になります。こういった練習会の様子を動画で見るとプロの説明をポカンと聞いていたり、よそ見をしていたり、プロのデモをスマホで撮るのに一生懸命だったりします。参加費も安くはないですし勿体無いだけだと思います。

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現状、日本では、テニス用具メーカー、テニス関連業界等含め、過去数年の錦織選手ブームに乗っかるだけで日本のテニスをどうにかしようという意気込みは薄いようです。テニスをやっている人達は上達したいと考えているのに上達するための環境が整っていないのなら自分でなんとかするしかありませんね。

 

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