ドミニク・ティエム選手の片手打ちバックハンド
ドミニク・ティエム選手のバックハンドは片手ですが、最近の片手バック選手と比べると打ち方に特徴があるように思います。
Dominic Thiem practice Backhand stroke Coupe Rogers 2015
最近の片手打ちバックハンドの打ち方は
最近多い片手バックの打ち方はテイバックで肘を曲げてラケットを体に近い位置に寄せ、振り始めでは曲げた肘を伸ばす事で体に近い所から外側に向かってラケットが出て行く軌道を描きます。
フリスビーを逆手で投げるような肘の使い方で瞬間的に力強くラケットを加速させる事ができる腕の使い方です。
Roger Federer Slow Motion Backhand
ティエム選手のスイングと比べてみると
一方のティエム選手は、肘の曲げ伸ばしは殆ど使わず、肩から手までを一直線にした状態で、ラケットを体から離れた高い位置まで持ち上げ、振り子が落ちるように肩を軸としたスイングでラケットを加速させています。
Dominic Thiem Forehands-Backhands Slow Motion 2014
肘を使わず肩支点で腕が動く事と、振りぬきに合わせて体が正面を向いて右肩が開いていくので、インパクトの打点は片手バックとしてはかなり体に近い位置になっています。
グリップが余り厚くないのも関係していると思います。
肩を支点に使うのは片手バックの基本でもあるので、旧来からのフォームに影響の強いベテラン選手は同じような腕の使い方が見られます。
ガスケ選手もラケットを降り始めて以降は肩支点で腕が動いていくフォームです。
Richard Gasquet – 2015 Australian Open – Backhands in Super Slow Motion Download (1200fps)
フォロースルーが右肩側に大きく動いていくフォロースルーはティエム選手と共通ですね。体や腕の使い方が似ているという事かもしれません。
ちょっと特殊なワウリンカ選手の片手打ちバックハンド
一方、スイングに合わせて体が正面を向いていく打ち方はワウリンカ選手に似ています。
ワウリンカ選手も肩を支点として腕の振りぬきを使う傾向がありますが、振り始めは肘の曲げ伸ばしを使ってラケットを加速させている分、ワウリンカ選手のスイングの方が力強く見えます。
Stan Wawrinka Slow Motion Forehand & Backhand (Cincinnati 2014)
ティエム選手の打ち方は、フォアハンドで言えば、前に長く振るというより、肩を支点に、右利きなら左肩方向に早めにラケットを収めるワイパースイングという感じです。
同じ肩支点で横向きのままフィニッシュする旧来からの片手バックの打ち方よりも回転はかかるでしょうが、普通にマネをするとボールのコントロールはしにくいし、思ったよりボールが前に飛んでいかないと思います。
Fluid, yet powerful. @ThiemDomi's backhand is ready to do damage on the court. #ProjectOne7 pic.twitter.com/8J3eJq8ROb
— Babolat (@babolat) June 22, 2016
まとめ
まとめると、肩を支点に振り子のように腕を使う形は旧来からの片手バックの影響を感じますが、体を開いて体の右側に振りぬいていくフォームは、強く振ろう、回転をかけようという意識から自分なりに工夫した結果なのかなと想像します。
もし参考にするなら、テイクバックからの加速を活かせるよう打点を体に近い位置で取れる事(前に取ろうとすると力が入らない)と上手くフォロスルーまで振り切る事で、多分、打点の取り方と打点でボールに力をうまく伝える加減が難しい打ち方だろうと思います。
でも、ティエム選手は若手だけあってまだ動画の数も多くないですね。