lond日記

思ったことを気まぐれに書きます。

デニス・シャポバロフ選手の片手バックハンド (テニス)

男子テニスで片手打ちバックハンドの選手が目立ってきた

2013年位までは男子プロテニスでも「片手打ちバックハンドは絶滅危惧種」という雰囲気でした。フェデラー選手は代表格でしたが、他はガスケ選手、ハース選手、コールシュラーバー選手、ロブレド選手とベテラン揃い。2014年にワウリンカ選手とディミトロフ選手がブレークしましたが「片手打ちバックハンドなんて...」という感じは変わりませんでした。

ところがこの2年位で片手打ちバックハンドの選手が目につくようになり、むしろ両手打ちバックハンドの選手よりも日々目立つポジションに位置するようになりました。

テニスは世界的なスポーツなのでジュニアでも片手打ちバックの選手も一定割合はずっと居たはず。多分、日本のように"片手打ちなんてやめておけ"と指導されないでしょうが、新しい選手も含めてその活躍にプロの世界でもまた我々素人の意識的にも「片手打ちでも十分行けるのでは?」という感じに少しですが変わってきた気がします。

デニス・シャポバロフ選手

最近活躍する片手打ちバックハンドの選手の中で特に印象強く、目立つ一人がカナダのデニス・シャポバロフ選手ですね。

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私が最初にシャポバロフ選手を見たのは2017年のデビスカップ、対イギリス戦、不用意に打ったボールが審判を直撃し、失格になってしまったニュースを見た時でした。 

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デビスカップでの事故の模様

その後の活躍を見た時、審判にボールを当てた若手だと気づかなかったのですが、最近はたびたびニュースでも取り上げられる選手になりました。

 

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シャポバロフ選手の片手打ちバックハンド

私がシャポバロフ選手の片手打ちバックハンドで好きな点は

「打点を近く取っている」

と思う所です。 

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ただし、これは

"物理的に打点が体に近いか遠いか"

という見方とは少し違います。

 

望ましいと思うインパクト姿勢

個人的には『片手打ちバックハンドは下の図のような姿勢を"基本"としてボールを捉えたい』です。

テニス 片手打ちバックハンド 打点の姿勢

3Dモデル作成が未熟でイメージしづらいですが、フェデラー選手を例に挙げるとこういう体勢が近いです。

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一般に教わる片手打ちバックハンドの打ち方とはイメージが違うでしょうが、言葉で言うと

「体の軸が軸足である後ろ足の上にしっかりと残っていて、腰高でなく、軸や頭を傾けることなく、ラケットとボールのインパクトをラケット面を通して後方から見ることができている感じ」

です。 

動画や静止画等を見ると、フェデラー選手もシャポバロフ選手もこういう捉え方を基本としている気がします。

今回は片手打ちバックハンドについて少し書いてみようと思います。ただし、"シャポバロフ選手の打ち方に関する感想" が主題ですからそれを説明する都合で必要な点をかいつまんでです。(その辺りも含め、片手打ちバックハンドについては後日書いてみようと思います。)

 

 

 

バックハンド、および片手バックハンドについて少し整理する

フォアハンドとバックハンドの違い、そして片手打ちバックハンドについて少し整理しておきましょう。

スイングの支点

片手打ちバックハンドにおける"スイングの支点"は利き腕の肩です。

テニス バックハンド テイクバック 利き腕の位置

片手打ちバックハンドでは主に肩から先の腕の機能を使ってボールを打ちます。フォアハンドのように体を回転させて打つことはしません。 

フォアハンドはテイバックにおいて利き腕の肩が体の後方にあるので"体を回転させてそれを体の前側に移動させる必要がある"と考えます。

テニス フォアハンド テイクバック 利き腕の位置

テニス フォアハンド インパクト 利き腕の位置

バックハンドはテイバックの時点で利き腕の肩が体の前方にあり、その肩を支点にスイングする片手打ちバックハンドではフォアハンドのように『体を回転させて正面を向く』積極的な理由がないということになります。

テニス 片手打ちバックハンド 打点の姿勢

横向きを保つ

片手打ちバックハンドで「横向きを保て」と言われます。

これはスイング中に体を回転させてしまうと"スイングの軸となる利き腕肩の位置"が動いてしまうからです。(俗に言う"肩が開く"という状態)テニス 体の回転と利き腕肩の位置変化

体の回転で"体の中心軸"と"利き腕の肩"の2点がスイング時に可動することで動きが複雑になり、結果、スイング軌道が安定しづらくなります。横向きを保って利き腕肩の位置を変えないようにして打つことで安定してボールを捉えることに繋がるので「横向きを保て」と言われるわけです。

腕の曲げ伸ばしだけでは加速が不十分

横向きを保った状態でも、"単純な腕の曲げ伸ばし動作だけ"でスイングしてはボールを飛ばし回転をかけるために必要なラケットの運動エネルギーが十分得ることは難しいです。

初心者の方は図のように"打点の位置から両腕を広げる、伸ばすようにして"ボールを飛ばそうとしますが、遠くまで飛ばすことはできないはずです。それはインパクトにおけるラケット速度がないためです。

テニス 片手打ちバックハンド 両腕を広げるフォロースルー

ボール を飛ばし回転をかけるはスイングによりラケットが持つことになる運動エネルギーの大きさで『1/2 x ラケット重量 x ラケット速度 ^2 (2乗)』で表せます。

(同様にボールも重量と速度を持って飛んでくるので、スイングせずラケットの運動エネルギーがゼロに近くても、ボールの持つ運動エネルギーを反発させることである程度飛ばせるのがボレー。逆にサーブはボールの運動エネルギーはゼロに近いのでほぼラケットの運動エネルギーで打つ。)

運動エネルギーは"インパクト時にラケットが何km/hか?"でその大きさが決まります。"スイングの大きさ"ではないです。そしてラケットの速度で言えば『テイバックでは速度ゼロ』です。

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片手打ちバックハンドにおいて曲げた腕の関節を伸ばしていくだけでは十分なラケット加速は得られません。横向きの状態から"軽く上半身を捻って下半身との捻転差を発生"させ、それを戻す動作で下半身からの力を上半身と連動させ、腕の曲げ伸ばしと共にラケットを加速させる工夫が必要です。

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体の捻り戻しにより腕と下半身の力を連動させることができるようになるのはフォアハンドも同様ですが、片手打ちバックハンドではこの"体の捻り戻し"と腕の機能による"引き"で一気に加速しインパクトに向かいます。

因みにテニスでは「打点においてラケット面でボールを押す」イメージでと言われますが、0.003~0.005秒程と言われるインパクト時間は人の反応速度(0.2秒とか)を越えているし、加速により体の回転や腕の動きよりも速度が増したラケットを"物理的に押す"のは無理です。100km/hを越える速度で進むラケットはインパクトの0.004秒程の間に(ボールとラケットは接触し離れるまで)約13cmも"接触したまま"前進している計算です。0.004秒を人が把握できないことを考慮すると幅を持たせたインパクト前後含む30cmとか、ラケット面はボールを飛ばしたい方向に向け続ける方が安全なので、それをイメージとして「押す」と言っているのだと想像します。指導で言われるまま「押そう」と考えると、インパクト前後に意識が集中してしまい、本質的に必要な"インパクト時にラケットは何キロか?"、テイクバックからの"引き"による急激なラケット加速が満足にできないと思います。 

 

 

 

片手バックハンドは打点を前に取れと言われるが...

片手バックハンドを教わる際に「打点は前に取れ」と言われます。理由としては「打点が近くなると打点で力が入りにくく、ボールに喰い込まれるから」といった所でしょうか。

実際の打点は、"空中の一点"ではないということ

前述したようにインパクト時間(0.003~0.005秒)の間に、ラケットとボールは接触し、ボールが潰れ、ボールが多少復元しながらラケットから離れるという段階を踏みますが、その中でラケットとボールを接触した状態のまま約13cmも前進している計算になります。

テニス インパクトでラケットとボールは接触したまま10cm以上前進

『空中のある一点』かのように"打点"を確認させられますが、実際は『スイング中、ラケットは約13cmの幅でボールを捉えている』と考える方が現実に則しています。当然「打点を前に取れ」の"打点"は0.004秒の始まり、「ここから約13cmの幅でボールにエネルギーを伝えるのだ」という地点であるべきです。

でも、我々が教わる片手バックハンドの打点位置と言えば、大体が利き腕肩よりもだいぶ前、腕をネット方向に伸ばし、腕と脇が空いたような状態でしょう。

テニス 片手打ちバックハンド 打点を前に取れの打点イメージ

この位置から13cm、ボールとラケットは接触した状態で進むのはちょっとイメージが湧きません。繰り返しますがインパクトに向けラケットを加速させるのは"体の捻り戻しによる下半身の力と上半身の連動"と"腕の機能による引き" です。

ラケットに進む力を加える"腕の引き"は腕が前進し利き腕肩を通過した時点で"弱まる"のでその前後には"ゼロ速度からの急激な加速度は収まっている"と考えられます。

つまり、片手打ちバックハンドが両手打ちバックハンドよりも優れている点、『振り抜きの速さ』『ラケット速度の速さ』、そして『インパクトで13cmボールとラケットは前進する』ということを考えれば我々が「打点を前に取れ」と教わる位置よりももっと体に近い位置で捉えるべきではないか?と思うのです。

体の軸が両脚の中心にあると利き手の動きに影響を受けるということ

そして、片手打ちバックハンドでは横向きを保つべき、利き腕肩の位置がズレる原因となる体の回転を接触的に行う理由がないのですが、上の図のように『体の中心軸が両脚の間にある』状態では"体の捻り戻しによる下半身の力を連動させること"と"腕の機能によるラケットの引き"が有効に機能しません。要は「速く振れない」のです。

片手打ちバックハンドを習い始めた初心者の方はこのような状態でスイングしようとし、ボールを飛ばせないのは前述の通りです。

テニス 片手打ちバックハンド 両腕を広げるようなフォロースルー

体の捻り戻しは『上半身と下半身の捻転差』を生み出し、その捻転差が腕を振る上半身と地面を踏み反作用の力を得る足の力の連動を起こします。これはフォアもサーブも同じです。横向きのまま、正面を向いたままでは"腕の力で振ること"しかできません。

野球のピッチャーを見ればそう感じます。

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また、片手打ちバックハンドにおける体の中心軸を両脚の中央に置いた状態で打つと、ラケットを持つ利き腕 (右利きなら右手)の動きの方が大きいのでそちらに引っ張られ、軸は前側脚 (右利きなら右足) 側に偏っていきやすく、スイングの結果としてのフォロースルーもあり、体は回転しやすくなります。

片手打ちバックハンドを教わる際、繰り返し注意される「横向きを保てない」「体が回転する」「肩が開く」状態です。

 

テニス 片手打ちバックハンド 肩が開く 1

テニス 片手打ちバックハンド 肩が開く 2

体の軸が両脚の中央にある時点で「体の軸を中心にスイング軌道はその周囲を回る、つまり"横振り"になりやすい」のは想像がつきますよね? 

スイングの軸である利き腕肩の位置を動かさない。結果、体の捻り戻しと腕の引きで加速させてきたラケット速度を鈍らさないためには「テイバックで軸足 (右利きなら左脚)側に寄せた体の軸を反対側の足を踏み込みつつ、体の軸は軸足側に残した状態でスイングする」のが基本となってくるのではないか?と考えます。

利き腕のみで強くラケットを加速させるため軸は後方に残す

片手打ちバックハンドの「利き腕一本でラケットを振る」という特性から捻転差を設けて足の力も使い、テイクバックの速度ゼロから急激に利き腕の引きでインパクトまで加速させる。そのためにはテイクバックからインパクトまで、体の軸は体の中心ではなく軸足である後ろ側の足の方に残っている方が望ましい。それが最初に上げたインパクトの状態です。

 

テニス 片手打ちバックハンド 打点の姿勢

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常にこういった状態で打てる訳ではないですが球出しのボールを打つ練習、クロスの長い距離でラリー練習位はこの形で捉えるようになりたいでしょうか。

 

 

 

前腕とラケットの角度も強くボールを捉えて"まっすぐ飛ばす"ために重要

以上が体と軸、片手で振るラケット加速に関する話ですが、もう1つ重要な事があります。選手達の写真を見て感じられますが「前腕とラケットの角度差」です。

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片手打ちバックハンドは、スイングと連動した前腕の回転(スピネーション)がトップスピン回転の発生に影響しますが、インパクト前後にラケットと腕が一直線になってしまうと「ラケットを下から上に持ち上げる」ことができなくなります。

ボレーでも「ラケットヘッドを立てろ、寝かせるな!!」と言われますね。

テニス 前腕とラケットの角度 手首が伸びない

テニス 前腕とラケットの角度 手首が伸びる

この前腕とラケットとの角度は、ボレーに限らず、フォアハンドでもサーブでも同じです。前腕とラケットが一直線になる、手首が伸びしてしまうと、人の体の機能上、インパクトでラケット面を強く支えられないし、ボールに回転等の影響も与えづらくなってしまうのです。

少し極端なので、安易にマネすると手首を痛めますが、前腕の回転(捻り・ススピネーション)をトップスピン回転のために用いるのがガスケ選手の片手打ちバックハンドの特徴です。

ガスケ選手の片手打ちバックハンド

スローで見るとよく分かりますね。

また、ストロークはフォアもバックも"体の回転"に伴う"腕の引き"でテイクバックの速度ゼロから急激にラケットを加速させますが、"体の回転そのものでラケットを振る訳ではない" というのが大事です。

回転で得られるラケット軌道は"円"です。

よく「遠心力で打つ」などと言いますが、我々がボールを飛ばしたい方向、角度は一方向ですし、インパクトの0.004秒ほどを人が認識できないことを考えれば、円軌道の中でボールを打つのは力の向きと方向性の問題で全く効率的ではないです。

結果、「ラケットは飛ばしたい方向にまっすぐ振る。つまり、インパクトの時間を含めてラケット面はボールを飛ばしたい方向・角度にまっすぐ加速させる、まっすぐ直進させることが我々の目的に合う。」と言えると思います。

テニス 体は回転していてもラケットは打ちたい方向にまっすぐ動かす

手首が伸びた状態、前腕とラケットの角度差がない状態では肩を支点に腕を斜めに振る、ラケットヘッドもその腕の軌道通りに動くしかなく、腕を速く振ることができなくなります。

説明が難しいですがアンダースローのピッチャーでも投げる瞬間手首は上に立っています。オーバースローのピッチャーと同じようにキャッチャーに向けてまっすぐ腕を振っている訳です。決して肩支点の円軌道の中で(ハンマー投げのように)ボールを投げている訳ではありません。

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フォアもバックもストロークにおいて前腕とラケットに角度差がない、腕とラケットが一直線になってしまうと肩もしくは体の回転を軸に腕とラケットを一体として回すことになります。

これでは

「インパクト前後にボールを打ちたい方向に長くラケット面を向け続けたいのにラケット面が常に変わっていく。(まっすぐ打てない)」

「ラケットを下から上に持ち上げるのが難しいのでスピンがかからない」

「腕を強くしっかり振れないのでラケット速度も上がらない」

等の問題があります。

また、"ラケットのガットは縦横に垂直に交差している"のでラケットの中心線を地面と水平にすることで長さのある縦糸をボールに回転をかける(ひっかかってガットが動く)ことに使いやすくなるのです。(それも手首を緩めるな、ヘッドを下げるなの理由です。)

下の図の状態なら、これからラケット面が地面と水平のまま上に持ち上げられる感じが分かるでしょうか。

ラケットを引き上げる流れでインパクト以前にこれよりややヘッド側が下がっている方がよいのかもしれませんが、それは腕や手に力が入っていなければ、これまでのスイングの過程で自然と下がるものなので、下げないとと気にする必要はないと思います。

このラケットの角度とスイングに伴う腕の引き上げがとても大事です。 

結果、"打点は体に近く"取れスピンもかけやすくなる

テイクバックからインパクトまで、体の軸が軸足(後ろ側の)側に残っており、前腕とラケットとの角度がきちんと保たれていれば、片手打ちバックハンドの打点 (前述の通りラケット面がボールに触れ、ここから10cm以上前進し始める位置) は自然と"少し手前"に取れます。

体の捻り戻しによる捻転差から地面を踏む足の力が使え、テイクバックからの腕の引きと合わせて十分ラケットを加速させているので、この"少し手前"の打点でも打ちづらい、ボールに喰い込まれるという感覚はありません。前腕のラケットの角度差で十分ボールを支えられる形が出来ていますからね。

打点が体に近い、スイング軌道から言えば地面に近い低い位置でボールが捉えられ、下から上に自然とフォロースルーを取れる形ですから自然とトップスピンもかけやすい、スイングを大きく取れるので加速してきたラケットの速度を邪魔しないフォロースルーが取れると思います。

『フェデラー選手やディミトロフ選手がこんな大きく上にラケットを跳ね上げるようなフォロースルーが取れるのは"腕をこういう風に振ろう"と思っているからではなく、そうなるようにスイングしているからだ』と考える方が自然だと思いますよね。

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シャポバロフ選手の片手打ちバックハンド

ようやく主題の話に戻りますが、シャポバロフ選手の片手打ちバックハンドの打ち方はこれまで述べたような点を踏まえていると感じます。

シャポバロフ選手の練習動画

 これらとは、

・テイクバックからスイングまで体の軸が軸足側に残っている

・前腕とラケットの角度もしっかり保たれた形でインパクトできる

・(軸足が後に残っているので)体が回転しづらくスイングの軸である利き腕肩の位置がブレにくい

・(軸足が後に残っているので)体の前にある打点までしっかりラケット速度を高めていける

・(軸足が後に残っており)前腕とラケットの角度があるので打点を少し手前に取れ、ラケット速度と腕の捻りで打点位置から上にラケットを跳ね上げやすく自然とスピンがかかる

等々です。

結果、現代風の大きく上にラケットを跳ね上げる、両腕が翼のように跳ね上げる、ボールにキレがありスピード感もある現代的な片手打ちバックハンドになっているように感じます。 

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また、打点が少し手前の取れるということは「それより前の打点でも打てる」ということです。

「"基本"こういう打ち方で打ちたい」と書いたのは、片手打ちバックハンド(片手程ではないが両手打ちも同様)は打点位置に関する許容範囲が狭いので基本とする形以外でも打てる幅が必要だからです。低いボールを持ち上げる、クロスに打つ、ストレートに打つ、高いボールを打つ、様々な対応方法を考慮しておく必要があります。打点が"少し手前の取ってもしっかり打てる"というのは片手打ちバックハンドに必要なそういった対応の幅を広げてくれるし、これらの打ち方自体そういった余地を含めた体の使い方になっていると考えています。打点が合わなければ即ミスでは厳しいですからね。

因みに、シャポバロフ選手はフォアハンドの方がボールスピードも回転量もあるでしょうがバックハンドほどボールにキレを感じないのは打ち方に無駄が多いからかなと思います。左利きなのでフォアはスピン多めで右利きのバックを突く感じですがこれでフォアに威力があったらかなり脅威な選手だと思います。

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現状、試合ハイライトの映像で取り上げられるのはバックハンドのウイナーが多いですからね。

片手打ちバックハンドを"かっこよく"打つには

私は、最初に述べた"フォアハンドに対するバックハンドの特性"を考えれば、両手打ちバックハンドも片手打ちバックハンドも体の捻り戻しによる下半身と上半身の連動、及びそれに合わせての腕の引きによりラケットをテイクバックの速度ゼロ状態から急激に加速させる理屈は変わらないと考えています。

両手打ちはフォアハンド同様、非利き手の自由度 (腕の各関節は体の中心から外より、外側から中心方向に向けて柔軟に曲がる) 故にインパクト前後の調整はしやすいですが、ラケットの加速がスイング序盤の"腕による引き" (インパクト時ラケットでボールは押せない) であると考えれば「両手打ちバックハンドの方が"打つ"のは簡単でもしっかりボールを打つ、打ち方をマスターするという意味では両手打ちも片手打ちも大差ない理解が必要」じゃないでしょうか。実際、片手打ちバックハンドをしっかり打てる方なら両手打ちバックハンドも普通に打てるでしょうが、コーチ経験等のない方ならその逆は難しいでしょう。両手打ちバックハンドで打っていても「"利き手の引きによるラケット加速"を考えずに"非利き手による調整"が主となっている。結果、フォアハンドほどボールに威力が出ない」方が多いのではないか?と想像します。

※繰り返しになりますが、両手打ちバックハンドをしっかりマスターできている方なら、体の使い方からスイング初期の加速が十分できていて打つボールにも片手打ちに負けない威力があるはずです。ラケット速度を活かし自分から打っていくのに向いている片手打ちに対し、両手打ちはカウンター気味に打つのに向いていると言ってもです。

ボールを飛ばす理屈から考えれば、片手打ちバックハンドも両手打ちハンドも同じような手順で打てるようになる (=同程度の時間でマスターできる。片手打ちは難しいから辞めろとはならない) と考えますが、片手打ちバックハンドは『それまでの生活・運動経験で同じような体の使い方をしていないから自分で実感しづらい』のが大きく「その理解は普通に教わるだけでは難しい。自分で考えないと理解の入り口にも立てない」です。

それが本当の意味での片手打ちバックハンドの難しさかもしれませんね。片手打ちバックハンドをかっこよく打ちたい方は今回書いたようなことも含め自分で色々考えてみるべきです。テニスを上達させるのは教える人ではなく自分自身ですからね。