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フォアハンド、打点での体の向き、正面向きだと安定して飛ばせない [中編] (テニス)

身体のねじり戻し

フォアハンドの打点における身体の向きを考える続き

前回、フォアハンドの打点における身体の向きについて途中まで書きました。

その続きです。

フォアハンドを打つ際、威力のあるボールを安定的に正確に思った方向へ飛ばすための条件が打点前後における身体の向きにあるのではないかと考えています。

ただし、毎度の事ですが、私はコーチでも専門家でもないので「フォハンドはこうやって打ちなさい」みたいな話ではありません。

ボールを飛ばし回転をかけるという物理現象を起こすための条件を色々と考え、自分で自分のテニスを上達させるため、テニスへの理解を深めるための根拠や情報としていきたいです。

私は

「当然のように行われている “イメージに依存した” 説明では皆が等しく近しい理解はできない。それを埋めるために、その打ち方でボールがうまく飛ぶ理由を示した根拠を伴った考察 (情報)。それが示されないから皆上達に苦労しているのだ」

と考えています。

正しい、間違っているといった話とは別にそういった情報は少しでも多い方が良いでしょう。

前提のような情報も書いているので、そちらを先に読んでいただけると話が繋がりやすいと思います。

なお、前編、後編としようかと思っていましたが、書いていく内に後編部分が大きくなってしまったので、一旦、中編として載せます。

最後となる後編は2日後位には載せたいと思っています。

体の回転で打つならラケットが動く方向は “身体の向き” で変わってくる

フォアハンド側とバックハンド側の特性の違い

前回述べたように

「身体の横向きを作り、一旦下げた利き腕肩の位置を身体の回転により身体の前側に戻る距離をラケットの初期加速に利用するフォアハンドに比べ、バックハンド側では横向きの準備段階からインパクトまでのラケット加速時、利き腕肩の位置はずっと身体の前側にあり大きく変わらない」

というそれぞれの特性があると考えます。

身体の右側、左側で打つだけの違いではないのです。

フォハンドストローク。一旦下げた利き腕肩の身体の回転で前側に戻す

テニス フォアハンドストローク 1
テニス フォアハンドストローク 2

バックハンドストローク。利き腕肩の位置は身体の前側にあり変わらない

テニス バックハンドストローク 1
テニス バックハンドストローク 2

 

また、「腕の関節は身体の外側から内側に柔軟に曲がるようにできており、外側に向けて曲がるのは肩と手首位」です。

す。

腕関節の稼働 1
腕関節の稼働 2
腕関節の稼働3

 

これらの事から

「フォアハンドは身体の回転を “積極的” に使うが、バックハンド側は “軽く捻じる程度” でしか使えない 

ですし、

「予測とバウンドが違ったり、移動しボールを待つ準備位置が曖昧だったりしてもなんとか打ててしまうフォアハンドに比べ、バックハンド側は打点の許容範囲が狭く、厳密に位置合わせをしないと即ミスに繋がる」

といった違いが生まれます。

フォアハンド側は横向き状態で利き腕肩は身体の後方にあるので、横向きのまま薄いグリップを用いる事で “身体よりも後ろの” ボールまで打てますが、バック側は身体の前側にある利き腕肩の位置より後ろではうまく打てません。

Embed from Getty Images

グリップを薄くしてもフォアほどの打点に対する許容範囲がないバックハンドは「常に身体の前で打てるように常にフットワークでポジションを取り、ボールとの距離を一定以上に保たないといけない。移動をサボったり、手を抜いて打つ事が出来ない」と考えられます。

スクールのレッスンでは教わらないかもしれませんが、これらを理解しているだけでボールを打つ事に対する認識や安定感は桁違いに高まると思います。

皆、楽をしたいから (実際は足りていなくても) 自分が思う最低限しか移動したくないし、やってみて足りかった分は手や腕でなんとかしようとします。「ボールが飛び回転がかかるのは物理現象でしかない」ですからそんな打ち方でもテニスはできてしまうので、それでミスが生まれていても「たまたまミスしたもの」や「技術的な問題だ」と考えてしまうのです。

初期加速で手や腕はラケットに引っ張られ殆ど動かせない

これも前回書きましたが、物体であるラケットには慣性の法則が働き、テイクバックの速度ゼロ状態でその場に留まろうとするラケットに対し、手や腕はグリップ側からラケットを引き、ラケットはグリップ側からスイング方法へ進んでいきます。

ラケット慣性の法則ラケット慣性の法則

ラケットが留まろうとする力より手や腕に引かれる力の方が強いのでラケットはグリップ側から動いていきますが、その場に留まろうとするヘッド側に手や腕はスイング軌道の反対側に引っ張られています。

Sydney International Tennis ATP 250

「腕の力は弱いから体全体を使って打て」と言われるように、フォハンドの初期加速を生むのは手や腕によるラケットの引き(引きつけ)より、両足で地面を踏んで得られる反力や身体のねじり戻し等を連動させ発生させるエネルギーです。

※ボール方向、飛ばしたい方向である “前” に向けラケットを加速させるのですから『上の伸び上がるようにして打つ』のは単純にはロスです。トッププロは “前” に振る中で必要量スピンがかける工夫をしています。

この点で「手で引くな。足で地面を蹴れ。身体を回転させろ。」と言われても、ボールを打ちながら意識する、確認するのは難しいので、ラケットを持たない状態でイメージと実際をすり合わせ、繰り返し確認していきたいです。

因みに、地面を蹴り身体を捻じり戻して得た初期加速のエネルギーは身体が回り、正面向きに近づく段階で消費されてしまい、遅れで動き始めたラケットヘッド側は速度が落ちた手や腕、身体を追い越し、慣性の法則で更に前進していこうとします。身体を追い越した後は前進のためのエネルギーが無いので、手に持たれたラケットは手や腕引っ張られ、減速ししつフォロースルーに向かいます。 

フェデラー選手のフォアハンドストローク

卓球のスイングを見る

卓球のスイングを考えてみましょう。(テニスを様々な視点から見るため、別スポーツの説明・指導を聞いてみる事は有用だと考えます。)

テニスとの違いは「自分がボールを打った後、相手が打ち返したボールを次に自分が打つまでの時間が短い」事と「ボールの重量が軽い」事です。結果、卓球はテニスで言う『コンチネンタルグリップ』でフォアもバックもグリップチェンジしませんし、基本となるストロークではバウンドの上がりっばなをライジング気味に打ちます。

Embed from Getty Images

薄いグリップだから打点は身体に近い位置、ハーフバンドのボレーのようにスイングはせず、軽く曲げた膝で身体の回転だけでインパクトまでラケットを前進させるような打ち方になるようです。腕を使っていくのはインパクト後。

中日新聞・電子編集部 続けて打ち合う卓球のコツ

ボールの質量が違うので、コンチネンタルグリップ、身体の回転だけでインパクトまでラケットを加速させベースラインから打つということはテニスでは難しいですが、道具の使い方が似たスポーツなら身体の使い方としては共通してくると考えるのが自然です。

卓球でも、押し込まれて、完全なオープンスタンス、相手方向に正対した状態で打つなら、身体の回転で利き腕肩を前に戻す距離が確保できないため、テニスにおけるウィンドミル、バギーホイップのように腕を真上方向に振り上げるような打ち方になるのも共通してきます。 

体の向きでラケットを “前進” させる方法はどう変わるのか? 

ボールを飛ばしたい方向にエネルギーを加えていく

テニスにおいて、ボールを飛ばし回転をかけるためのエネルギーは、大きく分けて以下の2つになると考えます。

1) 速度を持って飛んでくるボールのエネルギーをラケットで反発させる

2) 自ら加速させ速度を持たせたラケットのエネルギーをボールに伝える

時間の無い中で正確に捉える、ネットに近い位置で長く飛ばす必要がないボレーは1メインのショット。自らトスを上げたほぼ速度ゼロのボールを打つサーブは2メインのショット。ストロークは打つ位置や状況によって1と2のバランスを取るという感じです。

いずれにしても

「ストロークでスイングを行うのはボールを “前” に飛ばしたいから」

です。

ネットがなければもっと回転量を減らして打てるし、フラットサーブももっと簡単に入るでしょう。速度を高めればそれに応じた回転量は必要ですし、時間を稼ぐためや相手の体勢を崩すために速度より回転や高さを優先したりもしますが「強い回転をかけるのがスイングの目的」となってしまっては本末転倒です。

トッププロを見れば『前に強くラケットを前進させる中でラケット面を引き上げて回転を加える工夫』をしています。(力任せに水平に打とうとすれば当然ネットします)

フェデラー選手のフォアハンドストローク

回転に重きを置いてしまう方の垂直に近く回転する身体の回転軸と運動方向がズレてしまう『腕でラケット全体を上に持ち上げる動作』が “ボールを飛ばし回転をかけるためのエネルギーの最大化 (= 初期加速)” に貢献しないのは少し考えれば分かります。

体の向きとラケットを前進させる方法 

体の向きとボールを飛ばす (強く前進させる中で回転を加える) ためにラケットを前進させる事との関係を見て見ましょう。

 

1. 目標に正対した状態でラケット面を前進させる

スイングの一段階とは考えず静止状態と見てください。

身体を目標方向に正対させた状態でラケット面もボールを飛ばしたい方向 (前方・正面方向) に向けているとします。

テニス フォアハンドストローク 打点での体勢例

ここから、身体の方面方向、ボールを飛ばしたい方向である前に向けラケット面を進めようとするなら、曲げた腕で物を押すような動きがあります。(ボレーのようにスイングせずに “足で踏み込む” 等をしないなら)

 

腕を前に伸ばしてく 1
腕を前に伸ばしてく 2

 

また、ここでは “静止状態” としていますから、下から上に腕を振り上げても大したエネルギーは生み出せません。

前に向かって腕を下から上げる 1
前に向かって腕を下から上げる 2

ウィンドミル、バギーホイップのような打ち方は、なんらかの方法で多少なりとも “前進” させたラケットの速度を利用する必要があり、身体よりも前に振るスペースが確保できない故のスイングの逃げ道として上方向に振り上げていると考えます。

また、ラケット面を前進させないでボールを飛ばす方法として『ワイパースイング』があります。

典型的なワイパースイングのイメージ

このようなワイパースイングでもボールを前には飛ばせますが『腕が生む少ないエネルギーを回転に多く割り振るための動作』と言え、

「単純にボールを前に強く飛ばしたいなら、ボールに向けてラケットを “前” に進める方がはるかに効果、効率が高い」

のは見ただけでも想像が付きます。

バギーホイップを多用して飛び上がりながら打つような方、完全なオープンスタンスで腕を巻き込むようなワイパースイングで回転をかけようとする方なら、打つボールは極めて速度がないものになるだろうと思います。

 

2. 目標に対し横向きを保ったまま身体を回転させていく

こちらもスイングの一段階とは考えず「こういう静止状態なのだ」と見てください。

身体を目標方向に対しフォア側に横向きを取り、ラケットは利き腕肩の前辺りのちょっと外側位にあるとします。

横向きを取った姿勢

ここから、日本人的に言えば『襖や引き戸を開け閉めするような動作』を行う事でラケット面をボール方向に進める事ができます。

Embed from Getty Images

ただ、この『襖や引き戸を開け閉めするような動作』は大まかには以下の2つの動きの組み合わせとなる事が多いです。

a. 肩を支点に広げた腕を身体の前に戻す動き

肩支点で腕を曲げる 1
肩支点で腕を曲げる 2

 

b. 腕は動かさなくても身体を回転させる事で実質的に腕が前進する動き 

身体・腰の回転で肩の位置も前進する

重い戸を大きく空ける際、手や腕の動きだけで開くのは大変ですね。「腰を入れる」等と言われるように足や身体の力を加えて実質的に手でエネルギーを加えていく訳です。

ここではスイングの一過程ではなく静止状態としていますから、最初の横向きの図から、手や腕を動かさず身体を回すだけでも、利き腕肩が移動する距離で “ラケットはボール方向に進んでいく” のが確認できます。 

横向きの図から身体だけを回転させた図

横向きから身体だけを回転させる

ボールは “押せない”

ちなみに「腰を入れる」とか書くと「インパクトにおいてラケット面でボールを押す」という指導が思い浮かんでしまうと思います。

ただ、これはあくまでイメージの話。ラケット速度が上がれば「押そうとする」動作すら怪しくなります。

後述するように

「打点は空中の一点ではなく10cm強の幅でボールとラケットは接触している」

と考えられるのでラケットに働く慣性の法則による力を前提に、

初期加速では

「足の力と身体の回転でラケットをグリップから”引く” 」

と考える方が適当なのではないかと考えます。

前回も書いた車輪の付いたおもちゃの台車に結んだ紐の先にグリップ上の棒を繋ぎ、それを手に持つとして、フォアハンドを打つ際のように身体を捻じり、足で地面を強く踏み、身体を捻じり戻ししつつ回転させてとします。

テニス ストローク ラケットの初期加速 1

体の回転で引き寄せられ、加速した物体 (台車) は、身体を追い越して以降も慣性の法則で前進してきます。

テニス ストローク ラケットの初期加速 3

      

フェデラー選手、錦織選手のテイクバックはコンパクト?

よく「フェデラー選手や錦織選手のテイクバックはコンパクトだ 」と “標準” ではない、何か特別な事例のように言われますよね。

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初期加速において重要なのは身体や足の力。手や腕による寄与が小さいなら、準備とインパクトまでの時間が短縮できるインパクトの体勢に近い、利き腕肩に近い位置にラケットをセットしたテイクバックを取るのはスピードが上がり、相手の時間を奪うテニスを行う現代テニスに合った選択 (“テニス”の進化) であると考えます。

下図のような身体からラケットが離れた、脇が開くような大きなテイクバックを取っても「強く打ち込んでやろう」と気持ちを高める効果を除き、ボールを打った結果に繋がる部分ではデメリットの方が大きい気がしています。

脇が空くような大きなテイクバック

くり返し示しているように、慣性の法則で始動位置に留まろうとするラケットに後方に引っ張られ、初期加速時にほぼ動かせない腕の事を考慮してもテイクバックの位置から身体のねじり戻しや両足で地面を強く踏む事で体を回転させれば、それだけでも腕とラケットは実質的に前進し、打点位置に近づいていきます。 

身体・腰の回転で肩の位置も前進する

身体を回転させる前に脇が開き、身体から離れたラケット(グリップ)を身体側に引き寄せる時間は始動のきっかけとしては分かりやすくても、その後の身体のねじり戻し、両足で地面を踏む等を連動させて得られる初期加速への貢献は小さいでしょう。

むしろ同じようにラケットを加速させられるのならラケットが体から離れないテイクバックの方が準備時間、インパクトまでラケットを進める時間の両方が少なくても済みますし、動かす距離が短ければより正確に当たりやすい効果も見込めます。

メリットとデメリットを考えれば当然の選択と言えるかもしれません。 

※これも繰り返し書いていますが「ボールが飛び回転がかかるのは物理現象でしかない」ので「その打ち方は間違い」「こちらの方が正解」といった話ではありません。テニスへの理解を深め、自分で自分のテニスを上達させるために自身で考えて選択すればよいだけです。

打点は” 空中の一点” ではないから

我々は練習の中で、グリップを握り、ラケット面を差し出した先の空中の一点を “打点の位置” として確認させられますね。

フォアハンドストローク 打点のイメージ

ボールとラケットが接触するインパクトの時間は0.003~0.005秒と言われますが、人の反応速度は0.2~0.3秒と言われており、インパクトの瞬間を人が認識し操作することはできないと考えられます。

また、スイング時、ラケットは”速度を持って” ボールに向かって前進しています。

仮にインパクトを0.004秒、ラケット速度を120km/hとすると

「ボールとラケットは約13cm接触状態(触れて潰れて復元しつつ離れるまで)で飛び出す方向・角度に向け前進している」

計算になります。

インパクトでボールとラケットは接触状態で10cm以上前進する

※単純な計算です。「え、ウソ!!」ともなりません。

これらを踏まえると我々が打点を想定する際は、

「打点は”空中の1点”ではない、13cm前後の幅(ゾーン)の中で (ラケット面で) ボールを捉えているのだ」と考えるのが妥当ではないか?

と私は考えています。

142mph Serve – Racquet hits the ball 6000fps Super slow motion

同時に我々がインパクトの瞬間を認識しそれに対して操作する事が不可能である事から、

インパクト前とインパクト後を含む 13cm +α の距離、ラケット面がボール方向、ボールを飛ばしたい方向、回転を加えたい方向に向き続けていないと安定したボールは打てない」

とも考えています。

あくまで例としてですが

「インパクト前後を含む30~40cm位はラケット面が安定的に前進してくには?」

と考えるなら自身のスイングに対する意識も自然と変わってくるのではないでしょうか?

少なくとも “空中の一点” でボールを打つと考えるのとは違ってくるでしょう。

後編に続きます

今回書きたい内容は「フォアハンドを打つ際、身体の向きはどこを向いているのが良いか」ですが「フォハンドストロークはこう打つものだ」といった打ち方の話ではありません。

ボールの打ち方は、いつも自分の打ち方を見ているコーチに相談すべきです。会った事もない、自身の打ち方も見た事がない他人のアドバイスを聞くのはリスクがあります。

ただ、「当然のように行われている “イメージに依存した” 説明では皆が等しく近しい理解はできない。それを埋めるために、その打ち方でボールがうまく飛ぶ理由を示した根拠を伴った考察 (情報)。それが示されないから皆上達に苦労しているのだ」

と考えていますし、

「自分のテニスを上達させるのはコーチや周りの人ではなく結局は自分自身だ」

とも考えていますから、私が日々考えてみているた事が何かしらの閃きや発想に結びついていけばと思っています。

 

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