レジェンド選手達のテニスアカデミー模様 (テニス)

 

レジェンド達がファウンデーションを設立する流れ

私がテニスを始めた頃の世界No.1はピート・サンプラスさんで、その位の年代のレジェンド選手が引退後に行う事の一つは自らの名前を冠したファウンデーション (基金・財団)」の設立でした。

・アンドレアガシ ファウンデーション (http://www.agassifoundation.org/)
・アンディ・ロディック ファウンデーション (http://www.arfoundation.org/)

等。(他に「自ら事業をやって大失敗する」レジェンド達もいます。。。)

30歳前後でほぼ引退。今のようにトッププロのコーチに付く流れも無かったです。先進国と途上国の差が今より大きく、ネットもなく情報が少なかった頃です。今以上に「恵まれない子供たちに...」という意識が強かった時代だと思います。

また、ここ20年程でロシアや東欧各国の選手層が急激に厚くなりましたが今でもアフリカ系選手はごく少数ですね。なんだかんだテニスをやるにはお金がかかります。「ボールだけあれば」なサッカーとはそもそもが違います。

そういった色々な要素を考えのファウンデーション設立という流れだったのだと思います。(お金を持っているだけだと文句を言う、「恩返ししろ」とかいう人達も居ますよね。)

この流れは続いており、最近では現役の内から自分の基金を設立する選手も目立ちます。

代表的なものはロジャーフェデラーファウンデーション(https://www.rogerfedererfoundation.org/ラファエルナアダルファウンデーション(https://www.fundacionrafanadal.org/) 等でしょうか。

昨年ご結婚されたナダル選手の奥様はこの基金の総括責任者をされているようです。(元々、保険・金融方面のキャリアを持つ方です)

 

なお、財団という和訳が公共的・支援のための組織といったイメージを持たせますが、英米では「法人形態の一つ」と考えた方が良いようです。その設立目的から「お金儲けをするための組織」ではないものの、その選手が考える事を実現しやすくするために作った組織であり、利益を上げないという事ではないという感じでしょうか。

 

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テニスアカデミーを設立するレジェンド達

そして最近目立ってきた流れとして

自分の名前でテニスアカデミーを設置するレジェンドが増えた

という事があります。

いくつか見てみましょう。

 

1. ラファエル・ナダル選手

https://www.rafanadalacademy.com/en

故郷であるスペインのマヨルカ島にあります。

 
 
 
 
 
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他、クウェートにも開設されているようです。

 
 
 
 
 
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2. ジュスティーヌ・エナンさん

http://www.justineheninacademy.com/

ベルギーのリムレットにあります。室内コートが充実、屋外コートはクレーです。ドイツ周辺や東欧各国はクレーコートが多く、冬場の天候もあり屋内コート (屋外コートのドームを被せるような所も) をよく見ます。

 
 
 
 
 
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3. ヤンコ・ティプサレビッチ選手

http://www.tipsarevicacademy.com/

セルビアのベオグラードにあります。(セルビアのテニス環境の特徴は日本への情報発信を積極的に行っている所が多い点。ティプサレビッチテニスアカデミーも日本語によるサイトが用意されています)

 
 
 
 
 
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ティプサレビッチ選手は男前ですし、投稿される画像もインスタ映え感が半端ないです。

 

4. リッカルド・ピアッティ コーチ

https://www.piattitenniscenter.it/

選手ではないですが、ガスケ選手、ラオニッチ選手、チョリッチ選手等にも着いた著名なテニスコーチであるピアッティさんも2018年にアカデミーを開設されました。

 
 
 
 
 
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同様の流れとして、セリーナ・ウィリアムズ選手のコーチであるパトリック・ムラトグルーさんも自らのアカデミーを持っていますね。

 

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アカデミー設立が目立ってきた理由は??

最近になってレジェンド選手達のアカデミー開設が目立ってきたのは インターネットで「世界が狭くなった」事、世界事情の変化、テニス界の変化等が関係している気がします。(もちろん、それまで見聞きしなかっただけである所も思いますがそれもネットの効果??)

テニス大国時代の終焉

昔のトップ選手の母国を見れば感じますがテニス大国というものが明確に存在し、それらの国で成績上位を独占している感じでした。例えばフランス、スウェーデン、アメリカ、ドイツ等でしょうか。

レジェンドであるナブラチロワさんはチェコスロバキアから『亡命』してアメリカ国籍を取得していますし、シャラポワ選手もソ連から父親と共にアメリカのアカデミーに移りました。男子のバシラシビリ選手も貧困故にコーチが付かず25歳過ぎての遅咲きとなったと聞きました。

シャラポワ選手も錦織選手も同じIMGアカデミーの出身となりますが、シャラポワ選手の頃(90年代)と錦織選手の頃(00年代)、そして今では更に状況も違うと思います。

昔はテニス大国のアカデミーに入る事は世界を目指すための限られた道であり、他に選択肢がない、そこが最低限のスタートラインという感じだったと想像します。環境も整っており最新のノウハウも蓄積されている。自国でコーチに着き、トレーニングをしても世界が全く見えない感じでしょう。(90年代の伊達公子さんら日本人女性選手の功績を否定するものでは全くありませんが、ランキング上位で活躍したのは「当時は日本で稼げるポイントが多かった」点が大きいと考えます。海外大会はフェドカップとGS大会及びその前哨戦位しか参加していないので。そういう意味で杉山愛さんのダブルス成績は "転戦の上でのもの" で本当にスゴイと思います)

逆に現代であればアメリカのアカデミーで育成に入る等は選択肢の一つに過ぎず、むしろ、スペインやセルビア等の東欧諸国を選ぶ選手も多いと想像します。かつてのテニス大国の現状、上位選手の顔ぶれを見ればそれらの国に行くのを (年齢や時間的にやり直しは難しい) 疑問に思うだろうし、インターネット等で情報の広まりが速くなり「世界が狭くなった」事でテニス大国でなかった国での環境や指導が充実してきていると考えます。(ただ "ハングリー" なだけで今日の東欧各国選手の爆発的な活躍がある訳ではないでしょう)

錦織選手がIMGに行ったのは「機会を得たから」であり、今ならもっと色々な選択肢から選べたのかもしれません。

見えない対象への支援から直接的な指導へ

「世界の恵まれない地域、恵まれない子供たちを支援する」という直接的に見得ない対象への支援をせざるをえなかった以前と比べ、世界情勢は変わり、かつての途上国でも爆発的に経済が向上しているような国も増えました。(紛争が続く国や地域もありますが)

特定の国々だけのものであった競合選手育成も世界的に人や情報が行き交う、最新の様々な情報も逐一入手できるようになる中で「設備と人材さえあれば世界中どこでも育成できる」感じに変わってきているのだと想像します。「結果が出せるかどうかは別にして」です。

直接的に選手を見る、指導をしたいと思ったとしてもどうしても「自身の経験を伝えるだけ」になりかねない。経験したトレーニングや知識はあっても、トップ育成の環境もノウハウも整えにくかった以前とは違い、アカデミーを設立して選手を育成するというハードルが高くなくなってきたのだろうと考えます。設立しても選手が育たなかったらそれら選手の未来を摘んでしまう事になりかねませんからね。

 

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世界を目指すには海外のアカデミーに行くべき??

その人次第ですから「海外のアカデミーに行かないと世界は無理」とは言い切れないでしょう。

「世界を見る」「外国人選手のテニスに触れる」点で意味があるという話も聞きます。

ただ、日本はテニス後進国であり、テニスは日本では "不人気" スポーツなのだと思います。

レクリエーションとして自分でテニスをやるのは昔から支持されている反面、「観客等としてテニス競技を応援する。選手を支える」といった文化は全く育てられなかったと思います。(「錦織選手が敗退したから決勝とか見に行きたくない」って何でしょう)

仮に日本でどんなに良い設備、最新の指導が受けられる環境が用意されたとしても、やはり「海外で実績のある世界的に評価の高い環境で育成に入る」方が (それがわずかでも) 将来に繋がる確率は高くなるのかもしれません。繰り返しますが "やり直し" は難しいですからね。(同時に「そういう環境に行ったからといって結果に繋がる訳でもない。本人次第の部分は変わらない」とも思います)

海外のアカデミーの情報も以前よりはるかに充実していますし、海外に居てもご家族と連絡が取りづらい訳でもありません。かつてなら「もう戻れない覚悟の上で渡米」とかだったでしょう。シャラポワ選手のお父さんも費用の工面のため2年間働いたと聞きます。

また、情報が得られるという事は「予め覚悟を持って行ける」という事だと思います。どんな環境でどんなコーチが居てどんな選手達が居る。かつてなら多かったであろう「環境が合わずに練習どころではない」といった事も減るのかなと思います。

かつてよりはるかに行きやすいし、行ける条件が整っているのであれば覚悟を持って行く方が前向きなのでしょう。

 

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錦織選手にアカデミーを作って欲しい??

それがどの位、現実的かどうかは分かりませんが、錦織選手にもアカデミーを作っていただけると良いなとは思います。レジェンドでも外国人選手のアカデミーに行くのと錦織選手のアカデミーに行くのでは心理的敷居の高さも違うでしょう。

ただ、「錦織選手がアカデミーを開くのなら海外で」と個人的には思います。日本では多分ダメです。

日本人は世界的に活躍する日本人選手達を自分達の代表と勝手に認識し、日の丸を背負わせますよね。アカデミー設立の可能性があったら「是非、日本で。日本人選手の育成を」と皆思うと想像します。

一方で錦織選手は2003年に渡米し、現在も拠点はフロリダにあります。人生の半分以上を海外で過ごされているのです。

ナダル選手のアカデミーがマヨルカ島にあるのはそれが故郷であり、現在も拠点にしているからですが、エナンさんやティプサレビッチ選手のアカデミーが母国にあるのは多少 "しがらみ" も感じます。ピアッティコーチの場合は「どこでも良いがどうせなら母国」という感じですかね。

錦織選手がどの位現役を続けられるか分かりませんが、引退されたら解説者になって欲しいテレビ局、タレントとして契約してほしい芸能事務所、出演して欲しいテレビ番組はいくらでもあるでしょう。シーズンオフになるとスポーツ選手達を大勢出演させるバラエティ番組は多いですよね。

比べる訳ではないですが引退後の錦織選手に (望まれるタレント性からも) メディア各社が松岡修造さんのような扱いを求めるなら世界的損失なのかもしれません。それこそ『メディアがテニスというスポーツを世界基準より低く見ている証拠』なのかも。

杉山愛さんはTV番組にも出演しますが、契約解説者になったり、頻繁に露出したりはされて居ないですね。ご結婚されている事もあるでしょうが、それがレジェンドテニス選手としての標準的な立ち位置なのだと想像します。

ずっと海外を拠点にされている錦織選手には引退後もそのまま海外で生活される方が望ましいのでしょうし、仮にアカデミーを設立されるようになったら例えば「フロリダで」のような事が良いと考えます。日本人はそこに行けば良いのです。ナダル選手のように第2の拠点として他国 (この場合は日本) に開くのは良いのかもしれないですけどね。

日本に本格的なテニスアカデミー設立。それに意味がない事はないでしょうが、色々もったないでしょう。同じ環境を特定の海外に作ったらはるかに結果に繋がりそうですよね。

日本ではそれをやる前に整備する事が数多く残ったままだろうし、だれもそれを改善しようとしない、できないまま来ている。それを機会におんぶにだっこで頼りきろう、責任を持たせようとする人達も多く居るでしょう。問題は先送り。犠牲になってしまうだけです。